ビジネス

2025.05.02 13:15

共創の連鎖が始まる。アトツギが語り、聞き、踏み出す理由 【TAKIBI&Co.Fes Tokyo#1】

三寺:あとはビジネスがストーリー型になっていて、アワードの受賞は、そのストーリーを伝える機会になります。どこの会社の商品を買うかという時に、単純に機能や価格だけではなくて、どんな人たちがどんな想いで作っているかが重要視される時代になってきたなと。その点ではアトツギには歴史があるので、スタートアップに比べて強みになります。

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山野:アトツギ甲子園は39歳以下の、まだ事業承継していない人しか出場できません。「自分はこういう事業をやりたい」「10年後にこういうことで勝負したい」ということを言語化する機会で、おそらくアトツギ甲子園で初めて人前でピッチをしたという人がほとんどです。時代が変わる中で、既存事業を守っていかなければならず、このままではいけないと思っている気持ちを、いかに事業として言語化していくか、ここに価値があるんです。この言語化する機会を提供できることが、大きな貢献だったのではないかと思うんです。

壷井:私はアワードでピッチをやって、社外に向けて簡潔に言葉を導き出せるようになりました。

ただ、自分の言語化能力が高まることで、返ってベテラン社員や製造現場のスタッフたちにどう伝えていくかという時に、言語の使い分けに悩んだ時期がありました。結局、会社の将来を考えた時に、やはり私の言語で伝えていくことにしました。その方が時代の波に乗り遅れず、変化しやすいということを理解しましたので。

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山野:私は三寺さんにメンターをお願いしているのですが、アドバイスではなく体験のシェアをしてくださいと伝えています。アトツギの多くは、三寺さんのようにたまたま繊維業の家に生まれて、ITの企業を辞めて継いでいるような人たちです。そのギャップの中で、孤軍奮闘、自問自答しながら闇に入ってしまうこともあります。その経験から、自分がいかにして闇から抜けたか、自分の答えを見つけたかを話してもらいたいんです。アトツギならではの経験をシェアすることで、他のアトツギもみんな踏ん張れるんです。

芦田:まさにそのとおりで、私もメンターの人と出会えなかったり、アトツギ甲子園に出ていなかったら、本当にひとりぼっちでした。親父が社長で従業員は親父のチーム。そこに私が異物混入するわけです。ただ、私は会社のためを思って必死に新規事業にも取り組んでいます。その際、社内のコンセンサスは取りませんでした。ただし、チェーンソーをもって現場の作業を最優先に。空いた時間を新規事業に充てるというのが基本です。

壷井:私もパン職人を20年やってきました。職人としての誇りを維持する中で、経営に関わる比率を増やしていきました。というより、事業が厳しくなり、やむを得ずという部分はありましたが。私の場合はパンを作る技術があったことが強みで、武器があるからコンセンサスを取ることができました。自分がやってきた技術力や結果を周りが見てくれたというのは大きかったですね。

藤吉:自分が好きなことをやり続ける中で、それが長期的目線で会社にとって本当に良いのかという判断は一人では難しくないですか?

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