イーロン・マスクが複数の企業の経営と政府の役割に忙殺される中で、スペースX社長のグウィン・ショットウェルは、ロケットメーカーである同社のトップとして常に存在感を示してきた。そして彼女は、その見返りをたっぷりと得ているとフォーブスは考えている。
テスラの株価は、イーロン・マスクが政府効率化省(DOGE)の職務に注力する中で暴落しているが、それでも投資家は彼のロケット会社であるスペースXの未来を信じている。そのおかげで、ショットウェルはビリオネアに上り詰めた。
スペースXで長年マスクの副官を務めるショットウェルは、同社の株式の0.3%を保有している。彼女が所有する持ち分の価値は、2023年12月時点のスペースXの評価額の3500億ドル(約52兆円)に基づくと、12億ドル(約1780億円)に達している。
現在61歳のショットウェルは、2002年にスペースXに11番目の社員として入社した。ノースウェスタン大学で機械工学を学んだ彼女は、マスクからの誘いを受けた当時、離婚のプロセスの途中で、幼い子ども2人を育てており、小さなロケット企業での安定した職を離れることをためらっていた。
だが、マスクはペイパルの売却益から1億ドル(約150億円)をスペースXに投入しており、ショットウェルは1カ月考えた末に、低コストで宇宙にアクセスできる再利用型ロケットを開発するという彼の夢に賭けてみようと思った。
「しばらく経って、彼に電話して『私はとんでもないバカだから』って言ったんです」とショットウェルは2022年のスタンフォード大学での講演で語った。「すると彼は笑って『チームへようこそ』って言ったんです」
2008年にマスクは、ショットウェルをスペースXの社長兼最高執行責任者(COO)に昇格させた。マスクがテスラや他の事業に注力する中で、彼女は宇宙開発の野心的なスケジュールを管理し、スペースXを地球上で最も優れたロケット企業へと成長させた。
スペースXは、2016年にファルコンロケットを8回打ち上げたが、2024年には134回にまで増加させた。これに次ぐのは中国の国営企業CASC(中国航天科技集団公司)で、同年の打ち上げ回数は68回にとどまっていた。コンサルティング会社ブライス・テックの報告によれば、2023年に世界で軌道に投入された衛星の83%をスペースXのロケットが担っていた。
その衛星のほとんどが自社の通信衛星であり、これこそが投資家が同社に熱狂する主な理由だ。