見る者に訴えるストーリー

NBPのコンテストに反響を呼ぶ作品が集まることは初めから明白だった。
応募作品は単なる写真ではなく、自然界とのより深い結びつきを呼び覚ますことができる、ひとつのフレームに収められたストーリーそのものだった。

2016年の最優秀賞を受賞したデイジー・ギラルディーニは「危機に瀕している場所や生物の美しさをとらえ、写真が持つ普遍的な力で注意を喚起することは私たち環境写真家の義務だ」と語る。

世界中の写真家たちがこの責任感のようなものを共有している。アイスランドにある火山が嵐の中で噴火する様子を撮影し、2023年の最優秀賞を受賞したルイス・ビラリーニョは「ネイチャーフォトグラフィーはより良い持続可能な世界を創り出すために人々を巻き込んで社会の変化を促すべきだ」と話す。
コンテストには見る者を引き込むような写真の応募が引きも切らない。例えば、トーマス・ヴィジャヤンが米アラスカ州のブルックス滝で撮影した、ハイイログマが遡上中に跳ねたサケと視線を合わせている衝撃的な写真がある。完璧なタイミングで撮影されたこの写真は、自然の中で繰り広げられる緊張感ある捕食のシーンをとらえている。
ネイチャー・フォトグラフィー・コンテストの2024年最優秀写真家賞を受賞したヴィジャヤンは「クマとサケのアイコンタクトまで見ることができる」と解説する。

作品を見る者はこれまでで最高の写真だと思うが、翌年の応募作品がそうではなかったことを証明する。
「毎年、今回のコンテストがこれまでで最高だと総括していた」とスティーブンは振り返る。「だが翌年になると数々の素晴らしい写真の応募があり、前回が最高というわけではなかったということになる」と語る。