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働き方

2025.04.02 10:30

「大卒者の半数に副業あり」米国の労働市場で異変が進む4つの理由

Shutterstock.com

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グラフィックデザイナーのある男性は午後5時にフルタイムの仕事を終え、手短に夕食を済ませてからノートパソコンを開き、フリーランスとして中小企業のロゴをデザインする仕事を数時間行う。こうした光景は、ひとつの仕事だけでは生活費が賄えなくなっている多くの米国人の間では珍しいものではない。米労働省労働統計局がこのほど出したニュースリリースによると、なんと890万人もの米国人が現在、複数の仕事をこなしているという。この数字はデータ追跡が始まった1994年以来、最多だ。

仕事を掛け持ちする人が増えているという傾向は、主に大卒ではない労働者の間でのものだと思うかもしれない。しかし、データには異なる状況が示されている。 セントルイス連銀の分析によると、複数の仕事をもつ大卒者の割合は着実に増えている。2019年に45.1%だった割合は、2024年には50.2%に増加。 この「過剰就業」という現象は、 米国人のキャリア構築と経済的安定へのアプローチを変えつつある。

では、なぜこれほど多くの労働者、特に大卒者たちが仕事を掛け持ちしているのだろうか。そこには経済面での必要性とチャンスという要素が絡んでいる。

今、米国人が仕事を掛け持ちする理由

1. 経済的なプレッシャー

フルタイムで働いていても、多くの労働者は勤務先の給料だけでは経済的なニーズを満たせないと感じている。労働統計局が発表した最新の消費者物価指数によると、食料品や住居費、エネルギーといった必需品の価格は、2月に前年同月比で2.8%上昇した。物価ほど賃金が上がっていないことを考えると、特に住居費の上昇が家計を圧迫しているのは明白だ。

2. 学歴の「インフレ」

多くの人が大学に進学して学位を取得するようになっているため、労働市場はますます競争が激しくなっている。大卒者の割合は1994年の21.2%から2022年には37.7%に上昇し、ほぼ倍増している。学歴のインフレは、生活費増加への対応に必要な昇給が望めないかもしれない職務を、より高学歴の人と争うことを意味する。

3. 労働時間の減少

一部の雇用主は従業員の労働時間を減らしているため、労働者は追加の収入源を見つけざるを得ない状況に追い込まれている。2月の非農業部門雇用者の平均労働時間は34.1時間で、前年同月の34.3時間から減少している。求人検索プラットフォーム ZipRecruiter(ジップリクルーター)のチーフエコノミスト、ジュリア・ポラックは「雇用主が労働需要の低迷を理由に労働時間を削減しているのだとすれば、労働者が空いた時間を利用して別の収入を得るために副業をするのはもっともだ」と指摘している。

4. ギグエコノミー(副業経済)

ギグエコノミーの出現で、仕事の掛け持ちが大幅にしやすくなった。Uber(ウーバー)やFiverr(ファイバー)、Airbnb(エアビーアンドビー)のようなプラットフォームにより、多くの人が副業できるようになっている。また、リモートワークの増加で通勤が障害となることもなく、複数の仕事をこなすことが容易になった。

副業をする人々は主にふたつのグループに分けられる。経済的な必要性から副業をする人々と、経済的な目標達成を早めたり、起業のチャンスを模索したりする人々だ。いずれにしても、デジタルプラットフォームは従来の雇用形態を必要とせずに複数の収入源を確保できるという点で、革命をもたらした。

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