富裕層にとってのインセンティブ
富裕層の移住を支援する英コンサルタント会社、Henley & Partners(ヘンリー・アンド・パートナーズ)はニュージーランドのゴールデン・ビザについて、世界でもトップ10に入ると評価している。その理由は、投資家への手厚い保護と、ニュージーランド国内での起業の容易さだ。
そのほか、財政面での優遇措置も評価される点だ。ニュージーランドには、贈与税、遺産税、富裕税、キャピタルゲイン税がない。また、広範な租税条約ネットワークに加わっている国でもある。法制度は、英国法の法体系に基づいている。
一方、コンデナスト・トラベラー誌によると、Henley & Partnersはこの国の現行のビザ・プログラムについて、「米国人がゴールデン・ビザを取得するべき上位30カ国のうち、21位に入る」としている。
前出のジョーンズはニュージーランドのゴールデン・ビザ・プログラムについて、「短期ではなく長期的な金融取引を重視した高級品であり、他の国々のプログラムとは異なる」と述べている。
住宅用不動産の購入など、外国人による受動的な投資を重視する多くの国々のプログラムとは異なり、事業やベンチャーキャピタルへの直接投資、テクノロジーやアグリビジネス、再生可能エネルギーといった革新的な分野への出資など、自国に対する積極的な投資を求めている。
一方では批判も──
だが、ニュージーランドのゴールデン・ビザに対しては、多くの批判もある。主な懸念事項のひとつとされているのは、ゴールデン・ビザによって移住した外国人が市民権を「購入」することで、出身国のビザでは不可能だった、世界各国へのビザなしでの旅行が可能になることだ。これは、ウクライナ戦争の勃発後、欧州で特に高まっている懸念だ。
また、ゴールデン・ビザは国内の住宅価格の高騰を招くとの指摘もある(多くの国のゴールデン・ビザは、不動産の取得と関連づけられている)。実際、スペインはこの問題を理由として、2025年4月からこのビザの発給を中止。ポルトガルは同様のプログラムにおける投資対象から不動産を除外した。
そのほか、富裕層だけが英語力を求められないなど、その他の種類のビザの申請者に適用されない優遇措置が講じられるのは、不公平だと主張する人たちもいる。そして、経済の成長に十分貢献するものではないとの指摘もある。
野党のフィル・トワイフォード議員は、「不動産購入など、ニュージーランドに雇用も持続可能な経済発展ももたらさない受動的な投資を行う外国人に居住権を購入させることは、受け入れられるものではない」と述べている。


