しかし、BYDの株価は割高な水準に達している可能性があるとウェンは警告している。同社の香港上場株は現在407香港ドルに達しているが、これは今年の成長の大半を既に織り込んだもので、彼が設定した目標株価の360香港ドルを上回っているという。
モーニングスターのサンも、BYDの目標株価を372香港ドルに設定しており、投資家に購入を控えるよう促している。
海外展開には課題も
同社のグローバル展開にはいくつかの不確実性がある。BYDは東南アジアをはじめとする新興市場で売上を伸ばしており、タイには工場も置いている。しかし、地政学的な要因が他の地域での展開の逆風となっている。
事情に詳しい人物によれば、BYDはメキシコでのEV工場の建設計画を無期限で棚上げにした。メキシコ当局は、中国からのさらなる投資を受け入れることで、トランプ政権の怒りを買うのではないかと懸念しているという。BYDは現在、懲罰的な関税が理由で米国市場で乗用車を販売していないが、電動バスの販売は行っており、カリフォルニア州に電動バスの製造工場を置いている。
一方、欧州連合(EU)はハンガリーにあるBYDの工場に、中国政府が不当な補助金を出していないかどうかの調査に乗り出したと英フィナンシャル・タイムズが報じた。
ドイツのシュミット・オートモーティブ・リサーチ創業者のマティアス・シュミットによれば、BYDの欧州への進出はまだ初期段階にあるという。EUは昨年、中国製EVへの関税を最大45.3%に引き上げたが、BYDはそのコストを自社で負担し、欧州での価格を据え置いているという。
しかし、欧州の消費者は一貫して地元ブランドを好んでおり、BYDのピュアEV市場におけるシェアは3%未満にとどまっているとシュミットは述べている。ただし、彼は、BYDがハイブリッド車の輸出も開始したことで、2024年に約4万7000台だった欧州全体の納車台数を、今年は9万台にまで引き上げると予想している。

