北米

2025.03.27 10:00

軍事作戦をアプリで議論、トランプ側近の「劇的失態」に呆れる当局者

ドナルド・トランプ米大統領とピート・ヘグセス国防長官(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

このチャットに加わっていたトランプ政権の関係者には、ヘグセスのように以前ヒラリー・クリントンの私用メールサーバー問題を巡って、刑事訴追を主張していた人物が含まれている。

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ゴールドバーグの記事によれば、彼をチャットに招待したのは、国家安全保障担当のウォルツ大統領補佐官のアカウントだった模様だ。また、このチャットにはマルコ・ルビオ国務長官やスティーブン・ミラー大統領顧問、中東特使のスティーブ・ウィトコフ、大統領首席補佐官のスージー・ワイルズ、国家情報長官のタルシー・ギャバードらも参加していたとされる。

ヘグセスは、チャットの中で自身のセキュリティのスキルを誇示し、フーシ派への攻撃を一時停止する可能性についての情報漏洩を防ぐようにグループに指示していた。「私は、この作戦のセキュリティを完璧に維持するために全力を尽くす」と彼は述べていたが、その時点でゴールドバーグはすでにチャットに参加していた。

「情報漏洩はなかった」と主張

ホワイトハウスとヘグセスは、機密情報の漏洩はなかったと主張している。「誰も戦争計画のメッセージなど送っていない」とヘグセスは25日に語った。トランプ大統領は現在のところウォルツを公の場で擁護しており、「彼は教訓を得た」と述べている。ホワイトハウスも「国家安全保障チームに対する信頼は揺るがない」と表明している。

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ただし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によれば、トランプは個人的にウォルツに対して不満と怒りを感じているという。

なお、ヘグセスはかつて、ヒラリー・クリントンが国務長官時代に私用メールサーバーを使っていたことを理由に訴追すべきだと主張していた。2016年に彼はFOXビジネスの番組で、「この種の無責任な情報の取り扱いをした者は、どんな政府職員であっても即座に解雇され、刑事訴追されるべきだ」と語っていた。

シグナルは、政府の通信アプリとして正式に認可されていないにもかかわらず、情報機関を含む複数の省庁で広く使われているようだ。25日の上院情報特別委員会の公聴会で、中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官は、自身およびスタッフの大半が、センシティブな会話の調整にシグナルを使用していると語った。「私のこのアプリのグループでのやりとりは、完全に合法で許可されたもので、機密情報は一切含まれていない」と彼は証言した。

シグナルは、他のメッセージングアプリと異なり、完全な暗号化を提供している。つまり、通信内容は送信者と受信者にしか見えず、アプリの運営元もメッセージの内容や、ユーザーを特定しうるようなメタデータの大半を保持していない。

しかし、ユーザーのスマートフォンがハッキングされれば、機密は保てないことになる。巧妙なハッカーは、ターゲットを騙して自らをチャットに加えさせたり、自分たちが作ったチャンネルに参加させたりすることが可能だ。グーグルの研究者たちは最近、ロシアのハッカーがウクライナで後者の手法を試みていると報告していた。シグナルは、今回のアトランティックの件についてのコメント要請に応じなかった。

さらに、「チャットの途中に誰かがその内容を覗き見る可能性もある」とビアズリーは付け加えた。「スマホの画面を覗くことは難しくない。同じ部屋にいた第三者が、その画面を見られる位置にいても、他の参加者には気づかれない。だからこそ、機密情報の議論は、第三者の立ち入りが禁止されたエリア内に限定するべきなのだ」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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