ニューヨークでモダン韓国料理「アトミックス(Atomix)」など複数のレストランを経営するエリア・パーク氏は、「フランス料理や寿司には数百ドル払うのに、韓国料理には30ドルしか払わない文化を変えたいと思い、店をオープンした。例えば日本のウニが『Uni』で伝わるように、韓国の食材も、韓国語で通用するように広めていきたい」と語った。
シェフと共に、国や地域の食文化や食材も発信してゆく。そのプラットフォームとしてのレストランのあり方は、これからますます注目されそうだ。
料理とともに多様化するドリンクについてのトークでは、香港「ザ・セイボリー・プロジェクト(The Savory Project、アジアのベストバー50で19位)」創業者であるバーテンダーのジェイ・カン氏が登壇。ビーフコンソメを使ったタイの牛肉サラダをイメージしたカクテルなど、アジアのエッセンスを取り入れたカクテルを生み出す彼は、「完成されているワインと違い、自由に味を生み出すことができる」カクテルと料理のペアリングの可能性を追求する。元々は西洋文化から生まれたカクテルだが、アジアの味を発信する媒体としても興味深い。
50ベストのドリュー氏は、「今後は50ベストバーでもトークセッションを開催し、そこにシェフに参加してもらうことも考えている。料理と飲料の垣根を超えたコミュニケーションが密になることで、さらなる進化を生み出していきたいと」語る。
地域、カテゴリー、スタイル、ネットワーク……さまざまな「ボーダレス化」が、未来の食の革新につながっていくに違いない。


