食&酒

2025.03.26 19:30

2025年版「アジアのベストレストラン50」 食の世界の進化と深化

2025年版「アジアのベストレストラン50」授賞式の様子

授賞式の当日には、1年以上のシェフ経験のある30歳以下を対象にした「サンペレグリノ ヤングシェフアカデミー 国際料理コンクール(SPYCA)」の参加シェフが手がけたメディアランチも行われた。

advertisement

SPYCAは、2年に1回、世界15カ所での地区予選を経て、ミラノで行われる世界大会でグランプリを決めるというもの。今回は昨年末に行われたアジア予選に出場したシェフらが、ミシュラン二つ星のモダン韓国料理「ジュンシック」でそれぞれの料理を披露した。

アジアから世界大会に進む香港「ベロン(Belon)」のアーディー・ファーガソンシェフは、インドネシア人である母がよく作ってくれた伝統料理「ナシレマ」にインスピレーションを得た肉料理を提供。「SPYCAに参加するまでは、インドネシア料理をエレガントに提供することは考えたこともなかった。自分が将来どのようなシェフになりたいかを考え、自分のルーツを深く知ることにつながった。将来、自分の店でもルーツに根差した味を出していきたい」という。

また、今回のメディアランチのために韓国の出場者から食材について学ぶなど、ここで生まれたネットワークが大きな助けになったという。SPYCAが始まって10年。今50ベストにランクインするシェフの中には、元出場者もいる。未来の有名シェフを見出す「もう一つの50ベスト」といえる。

advertisement

「アジアからの発信」と料理と飲料のボーダーレス化

授賞式の前日行われたトークセッション、50ベストトークでは、近年アジアの料理がより注目を集めていることを受け、「Asian Wave(アジアの潮流)」をテーマにしたトークが行われた。

香港のヴィッキー・チェンシェフは、干しナマコや鮑などの海産物の乾物を料理の主役に据えた「ウィン(WING、3位)」で人気だ。どれも食材は日本やオーストラリアからの輸入が多いが、それを乾物にして調理するという文化は中国のもの。欧米人には好まれないこともあるゼラチン質のテクスチャーを受け入れやすく調理したり、同じ建物内にある姉妹店でフランス料理系の店と食材を共有したり、異なった文化の良さをそれぞれに取り入れて、よりサステナブルにできると訴えた。

次ページ > ボーダレス化が食の革新につながる

文・写真=仲山今日子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事