現在59歳のカーニー首相は、ゴールドマン・サックスの元幹部で、カナダ銀行およびイングランド銀行という両国の中央銀行総裁を歴任した経済の専門家だ。彼は、2019年にイングランド銀行を退任した後、国連の気候変動対策・金融担当特使に就任した。
そして、今年の1月16日にトルドー首相の後継者を選ぶカナダ自由党の党首選への立候補を発表し、経済改革に専門知識を活かすと訴えて85.9%の支持を得て当選した。カーニー首相は、もし今回の選挙で敗れれば、カナダ史上最も在任期間の短い首相となるとカナダのCBCニュースは伝えている。
マスクはポワリエーブル党首を支持
一方、現在45歳の保守党のポワリエーブル党首は、2004年に25歳で史上最年少の議員として初当選して以来、議員を務め、2022年から同党の党首を務めている。BBCニュースは彼を「攻撃的」で「ポピュリスト的」な指導者と評し、反エリート的な言説を展開していると報じている。彼は、ワクチンの義務化への抗議運動を支持し、「ウォーク主義」を非難するなど、米国のトランプ支持者に通じる立場を取る一方で、保守党を「移民に融和的な政党」に位置づけて、新規の移民の社会への統合を訴えるなど、米国の共和党よりはやや穏健な立場を取っている。
ポワリエーヴル党首も「カナダが米国の51番目の州になることはない」と主張しており、「カナダ・ファースト」を掲げている。彼は、選挙戦の開始にあたり、トランプとは協力するとしつつ、「大統領にはカナダの独立と主権を認め、関税政策をやめるよう要求する」と述べた。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によれば、カナダの世論が反トランプに傾く中でポワリエーヴルの支持率も低下しているものの、彼はイーロン・マスクを含むトランプの支持者から支持を受けている。マスクは、1月にポワリエーヴルのインタビュー動画をX(旧ツイッター)の投稿で共有し、「素晴らしいインタビューだ」と述べていた。