欧州

2025.03.25 09:00

サイバー攻撃やスプーフィングと組み合わせ、ウクライナの強力ジャマーが滑空爆弾を封殺

ロシアの新型滑空爆弾「UMPB D-30 SN」の3Dレンダリング図(Naeblys / Shutterstock.com)

ウクライナ側による徹底的なジャミングは、ロシア軍のドローンの多くも地上に落としている。ナイトウォッチは当初、ウクライナの都市を連日攻撃しているシャヘド(ロシア名・ゲラニ2)型攻撃ドローンを封殺することに重点を置いていたという。

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電波妨害は、ウクライナ空軍が高価で攻撃にさらされやすいS-300、パトリオット、SAMP/T各地対空ミサイルシステムではほとんど達成できなかったことを成し遂げたと言える。これらの中・長距離防空システムは数十km以上離れた地点からロシア軍機を迎撃できるが、ウクライナではかねて数が足りておらず、前線や都市を完全に守ることはできていない。

もちろん、ロシア軍もジャミングを行っているが、ウクライナ軍ほどの効果はあげていない。ロシア製ジャマーの多くは出来が悪く、有効性が低い。また、ロシアの産業界は、ロシアの弾薬へのウクライナの対抗手段への対抗手段、「対・対抗手段」をいまだに開発できていない。

ロシア軍は衛星誘導弾について、誘導に使う周波数帯を切り替えたり、通常4本のアンテナを12本に増設したりするといった対応を試みたらしい。

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だが、ウクライナ軍は一部の改修ドローンからハードウェアを回収し、ナイトウォッチはそれを解析してLimaやその配備計画に微調整を加えたという。「新型アンテナを詳しく調べ、数理解析を行い、電子戦システムを地上でどのように配置すべきか計算し直しました」(メーカー)

Limaは有効なようだが、ウクライナ全土は言うにおよばず、前線全体もカバーできていない。そのためにはこうしたジャマーがもっと必要になる。ウクライナ政府がジャマーをより広範に配備することを決めれば、ナイトウォッチはLimaを月に300台のペースで製造できるとメーカーは述べている。

もっとも、ロシア軍の爆撃に狙われる人たちにとって、重要なのは電子戦システム企業の業績向上ではない。ウクライナの大勢の軍人、民間人にとって重要なのは、ロシアの滑空爆弾に対してウクライナにはいまでは防御手段があるということだ。

Limaのようなジャマーが増えていけば、ウクライナのより広いエリアが強力な電子シールドで守られることになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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