異なる金利見通し
しかし、CMEのFedWatchツールによれば、6月会合までに利下げが実施される可能性は78%に達し、その時点で短期金利が現在の4.25%から4.5%の水準を下回ると市場は確信している。
市場関係者は2025年に2回から4回の利下げがあり得ると見ている。それとは対照的に、FOMCメンバーによる予測は異なる見方を示しており、2回の利下げが最も可能性が高く、それより少ない回数の利下げもあり得ることが示唆されている。
この少ない「変化」の要因として、パウエル議長は不確実性に直面した際の「惰性」に言及した。「これから何が起きるのかを注視する必要がある。変化が少ないことの1つの要因は、経済成長が鈍化する一方で、インフレ率は高いという状況が、お互いを相殺した結果だと思う。また、率直に言って、この不確実性の高い環境下で何かを変えようとすると、多少は惰性的になってしまう。このような状況では『今の状況を維持しておこう』といったようなものだ」
経済の不確実性
景気の不透明感は最近の歴史と比較しても非常に高い水準にあり、経済データがどのように推移するかに大きく左右される。
景気後退への懸念は高まっている。例えば、3月に発表されたUCLAの経済調査では、「今後1、2年の間に景気後退が起こる可能性がある」ことが示唆されている。この評価では、関税がおそらく100年ぶりの水準にまで上昇することの影響が、サプライチェーンの混乱につながる可能性があると論じている。それに加えて、政府支出の削減が需要を減退させる可能性、および、移民政策が労働供給を減少させ、特に建設・農業セクターに影響を及ぼす可能性が言及されている。また、最新の消費者信頼感指数(CCI)も低下した。
しかし、これまでに発表された経済データは総じて堅調である。例えば、3月20日に発表された失業保険申請件数は過去2年間の水準と一致している。また、2月の失業率は4.1%だったが、この失業率は2024年5月以降、4%から4.2%の間の狭い範囲で推移しており、歴史的に高い水準とは言えない。とはいえ、最近の政策変更による経済への影響が現れるのは、5月以降に発表されるデータになるだろう。
金利の見通し
今のところ、FOMCは2025年に2回の利下げを予想しており、おそらく最初の利下げは6月になるだろう。しかし、経済の不確実性は高く、市場関係者はより大幅な利下げが行われる可能性があると見ている。FOMCはしばしば、彼らの行動はデータに左右されると強調するが、それぞれの経済予測にかなりの乖離があるため、今後数カ月は特にそうなるだろう。