4NE-1に搭載された触覚センサーを備えた「人工的な皮膚」は、圧力を正確に計算することで、安全な作業環境を提供する。その結果、このヒューマノイドは、より素早くすばやく動けるようになる。
「こうすることで、ロボットを制御する方法が根本的に変わる。これは、私たちが最も重視している課題の1つだ」とリーガーは説明した。
Neura Roboticsはまた、4NE-1を驚異的な速度とパワーで動かすことを可能にする新たなアクチュエーター(機械的な動きを生み出すためのパーツ)を開発した。同社のアクチュエーターは、ボストン・ダイナミクスの油圧駆動によるものに匹敵するが、電気を使用する点が異なっており、リーガーは、現時点で最も優れたアクチュエーターだと考えている。
ここまで紹介したNeura Roboticsのテクノロジーは、非常に興味深く、期待も高まるが、ロボット分野の競争は熾烈だ。
ヒューマノイドで出遅れた欧州
米国のFigure AI(フィギュアAI)は、今後の4年間で10万台という驚異的な数のヒューマノイドを出荷する計画を立てており、同じく米国のAgility Robotics(アジリティロボティクス)のロボットは、すでに顧客の工場や物流センターで稼働している。それに加え、世界にはヒューマノイドを開発する企業が100社ほど存在し、そのうち少なくとも16社が、既存の製品や明確なビジョン、十分な資本を持ち、実現可能性のあるプロジェクトを進めている。
ここで明らかなのは、欧州の企業が自前のヒューマノイドを持たなければ、自動化が進む未来において競争力を失うということだ。未来学者のピーター・ディアマンディスは、最近のロボットに関するレポートで、欧州のこの分野における注目すべき企業はほとんどなく、主要なプレイヤーは米国と中国に集中しており、英国とカナダにそれぞれ1社ずつ存在する程度だと述べていた。
効率的で価格が適正なヒューマノイドが普及すれば、製造業や物流、医療、高齢者ケア、配送といった主要産業のほとんどが影響を受け、導入が進んだ国では生産性の飛躍的な向上が見込まれる。そのため、ヒューマノイドの開発は、どの国にとっても最重要課題の1つとなる。
「この流れに乗り遅れることは、絶対に許されない」とリーガーは述べている。「ロボティクスの波に乗り遅れたら、欧州は将来とてつもない問題を抱えることになる。私たちの地域はこれまで、優れた自動車やテクノロジー、機械を生み出すことで知られてきた。その時代はまだ終わったわけではないが、この自動化の波に乗り遅れれば、終わる可能性がある」と、彼は語った。

