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ブルネロ クチネリの服は、着る者を知的でエレガントに見せる。そして清く正しい、善き人物像を浮かび上がらせる。 それは服に、普遍的で人間味溢れるブルネロ・クチネリ氏の思想が込められているからだ。
Promoted by Brunello CucinelliDirection by AKIRA SHIMADA(Forbes JAPAN)Text by YASUHIRO TAKEISHIPhotographs by Massi Ninni

記事上部の写真は、モンテーニュやデカルトにも影響を与えたローマ時代の哲学者、セネカの胸像の傍らで読書にふけるブルネロ・クチネリ氏。彼はインターネットやスマートフォンはもちろん、テレビや新聞にもあまり時間を割かず、偉大な賢者や哲学者の著作から、深い知識や見識、発想源を得ているのである。

モンテーニュやデカルトにも影響を与えたローマ時代の哲学者、セネカの胸像の傍らで読書にふけるブルネロ・クチネリ氏。彼はインターネットやスマートフォンはもちろん、テレビや新聞すらほとんど見ず、偉大な賢者や哲学者の著作から、深い知識や見識、発想源を得ているのである。
創業当初からブルネロ クチネリには、明確なコンセプト=思想が存在した。そしてその思想は、現在もすべての服の隅々にまで息づいている。そんな独創的かつ普遍的なブルネロ・クチネリ氏の思想は、まさに同氏の“哲学”そのものであることは、私たちに語りかける言葉からも明らかなのである。
「世界中の人々の魂は今、闇に覆われているように感じます。その主な要因と思うのが、ここ30年ほどで普及したインターネットとソーシャルメディアの影響です。それらにより、人々の生き方が決定的に変わってしまった。人々が他人の言葉に耳を傾けることが、少なくなってしまったのです。例えば仕事場で何人かが同じテーブルを囲んでいても、声を掛け合うことは少なく、何か問題があっても相談せず、みなスマートフォンで解決しようとします。そして労働を終え、帰宅した父親が“今日は何かあったかい?”と息子に話しかけると、“ちょっと待って。今友達とチャットしているから”と返されてしまうのです」
インターネットやソーシャルメディアが人々に与える影響は、以前からブルネロ・クチネリ氏が指摘してきた問題である。それらは過度に依存することによって負の影響をもたらす。人と人との直接的な触れ合いが減り、コミュニケーションも希薄になってしまうのだ。その結果人々の心に鬱積した闇が、世界各地の軋轢に少なからず影響を及ぼしていることは、想像に難くない。では、そういった問題はどう解決すればいいのだろうか。
「今は人が人に対して、ちゃんと接せられていないように感じます。つまり、他者への“Amore(アモーレ=愛情)”を失ってしまっていると思うのです。故に、まず必要なのは、対面での血の通ったコミュニケーションを取り戻すこと。元来、人間は対話を好むものであり、人と意見を交換したいと思っているものです。それを再び行うのは、実に簡単です。スマートフォンを机に置くだけでいい。投資もまったく不要です。その恩恵と効果は非常に高いはず。仕事場のテーブルを囲う人々の会話が弾み、良い状態になれば、おのずと創造性も高まります。やがて組織全体が良い状態となり、クリエイティブな会社となるのです」
世の大勢を的確に捉える、こうしたブルネロ・クチネリ氏の思想は、いにしえの偉人たちが著した膨大な哲学書や思想書を愛読することによって熟成したもの。その人間性溢れる思想は、服だけではなく、拠点のソロメオ村に築いた市民劇場や図書館、公園など、公共性の高い施設にも反映されているのだ。だからこそブルネロ クチネリの服は、トレンドとは対極的な普遍性を宿しているのである。トレンドばかりが話題となる現代のファッションにおいてブルネロ クチネリが注目されるのは、そんな確固たる思想を備えているからに違いない。
「ファッションを含め、近年はあらゆるものの価格が上昇していることが世界的に問題視されています。2年前は一泊1200ユーロだったホテルが、今は3500ユーロです。そんな価格自体も問題ですが、さらに私が懸念するのは、高騰した分が従業員や生産者にまできちんと分配されているのかということです。もしそうでないのならば、もっと社会的に目を向けて是正していくべきではないでしょうか」
富める者はより富み、窮する者はより窮していく。そんな格差社会を助長する社会構造は、近年の世界的インフレでいっそう浮き彫りになった。それは人々を分断しかねない、解決すべき喫緊の課題である。そんな社会を変えるには、“調和と均衡”が不可欠であると、ブルネロ・クチネリ氏は説くのだ。
「私は仕事を介し、常に人々とつながっていたいと思っています。人々とのつながりは精神的な持続可能性を生み、魂を良い状態に保ってくれるのです。そして個人の良き魂は家族へと自然に波及し、やがては良き国家の礎ともなる。そんな個人と家族、国家が三位一体となり、ハーモニーを奏でることが真の豊かさを生むのです。
また18世紀の哲学者イマヌエル・カントはこんな言葉を残しています。“贅沢で美しいものは、倫理的に正しい善きもののシンボルである”と。つまり、ラグジュアリーとは本来、正しく美しいものであるべきであり、不当な利益、不均衡な分配があってはならないのです」
ラグジュアリーとは正しき倫理の下、人類が培った英知と美的感性を集約した結晶。富の偏在と格差社会が進行した現在、そんなラグジュアリーの存在意義はゆがんでしまった。それを正すべき時が今訪れていると、ブルネロ・クチネリ氏は預言者のように示唆するのだ。
「近年ラグジュアリー市場は非常に成長しました。ですが、最近はその高価格が本当に健全なバランスが考慮された上でのものなのか、人々は訝しく思っています。今はあらゆる面においてそのような意識が向けられており、バランスの取れた新しい秩序を見いだす絶好の機会。私は服を通し、そんな新時代の秩序を表現したいのです」
ブルネロ クチネリ ジャパン
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