米連邦準備制度理事会(FRB)は米国時間3月19日、金利を据え置くことを発表した。しかし、2025年全体で見れば複数回の利下げの可能性は高そうだ。5月6日~5月7日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げの可能性は低いが、6月FOMC(6月17日~18日開催)での利下げの可能性は非常に高い。消費者物価の上昇率が高水準で推移していること、そして労働市場が堅調であることは、FRBによる早急な利下げが必要はないことを示唆している。
しかし、今後の利下げのペースとタイミングは不透明だ。関税政策の不確実性と貿易リスクにより、消費者と企業の景況感は低下している。今回のFOMCで発表された経済見通しに基づけば、今年中に2回の利下げが実施される可能性があり、これは2024年12月時点の見通しから変更はない。FRBにとっての不測の事態の1つとして、アトランタ連銀のGDPNow(GDPナウ)は、2025年第1四半期のGDPが縮小する可能性を示している。もしそうなれば、FRBの利下げ幅は大幅に拡大する可能性が高い。
FRBは金利を据え置き
FRBは3月19日、フェデラルファンド金利(FF金利)を4.25%から4.5%のレンジで据え置いた。実際、CMEのFedWatchツールによると、FRBが金利を据え置く確率は13日午前8時41分(米国東部時間)時点で99%であり、事前の予測における利下げの確率はわずか1%と事実上ゼロだった。
3月FOMCの金利決定は、完全雇用を促進し、物価を低位に安定させるというFRBのデュアル・マンデート(2つの使命)に基づいている。
3月FOMCの声明には、「失業率はここ数カ月間、低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調である。インフレ率はやや高止まりしている」と記載されている。
雇用市場は「堅調」で完全雇用に近く、2月の失業率はわずか4.1%であり、1月の求人件数は770万件を超えた。雇用者数は増える一方で、その上げ幅は縮まりつつあり、2月のCPIは前年同月比2.8%上昇、コアCPIは3.1%上昇と、インフレ率は依然として「やや上昇」している。1月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.5%上昇、コア指数も同2.6%上昇した。
3月FOMCによる経済見通しでは、PCEとコアPCEが目標を上回る期間が長くなると予想されている。