20日に発売された新作ゲーム『アサシン クリード シャドウズ』は、批評サイト「メタクリティック」がまとめるメディア各社レビューの平均スコア(メタスコア)が81点と、まずまずの結果となっている。ゲーム・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ゲームソフト)候補にはならないものの、シリーズ最大のヒットとなった『ヴァルハラ』(メタスコアは80点)を含め、歴代シリーズ作品の多くと並ぶ水準だ。
ただし、これはあくまで批評家の評価だ。今もゲームジャーナリストの意見に耳を傾ける人は、いったいどれほどいるだろうか?
では、実際に同作を購入してプレイしているユーザーの評価はどうなのかというと、まだ発売から間もないものの、今のところの評価は良好であり、批評家のスコアをおおむね上回っている。
・PlayStation 5版──星4.79/5
・Xbox Series X/S版──星4.5/5
・Steam版──高評価81%で「非常に好評」
メタクリティック上でのユーザースコアはまだ出ていないが、上記のプラットフォームではユーザーがレビューを投稿するには実際にそのソフトを所有している必要があるのに対し、メタクリティックはそうではなく、同じ人が何度も投稿できる。再投稿をするには数日置かなければならないが、それでも物議を醸すソフトに批判的レビューが殺到することは止められないため、メタクリティックのユーザースコアは実際のプラットフォームでのスコアを大きく下回る傾向にある。
特に批判の矢面に立たされがちなのが、「woke(ウォーク)」(社会問題に関する意識が高いリベラル派をやゆする表現)のレッテルを貼られたゲームだ。『シャドウズ』もそうした作品の一つであるため、メタクリティック上のユーザースコアが低くなるのはほぼ間違いない。
もう一つ留意すべきなのは、『アサシン クリード』新作にすぐ飛びつくような人は、ゲームの内容を気に入る可能性も高いので、発売直後のユーザースコアは多少高くなる可能性だ。『ヴァルハラ』のPS5版は6万7000件のユーザーレビューで星4.11となっている一方で、『シャドウズ』PS5版のレビュー件数は数千件のみとなっている。
最も重要なのは、売れ行きだ。開発元の仏Ubisoft(ユービーアイソフト)は『ヴァルハラ』級のヒットを望んでいるだろうが、関係者によると、『オデッセイ』並みの売り上げに落ち着いたとしても同社は満足するとみられている。
『シャドウズ』は、批評家スコアや、発売直後のプレイヤーの評価、そして、これまでのやりかたを無難に維持したという点で、少なくともある程度の成功を収める地盤ができているようだ。最近リリースされた『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』は、レビューの面では似たようなスタートを切りつつも、最終的には残念な結果となったことは確かだ。だが、同作の失敗の大きな要因として、過去作から内容が大きく変わっていたり、前作をプレイしていなければわからないことが多かったり、前作から丸10年たっていたりしたことがあった。一方、『シャドウズ』にはそうした懸念はない上、ファンが20年近く切望していた日本の戦国時代を舞台にした作品でもある。今後、プレイヤー数のデータがどう推移するかを含め、動向に注目していきたい。