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サイエンス

2025.03.22 15:00

アボカドの栽培は7500年前から その過程でタネは巨大化、食用部分も増える

Shutterstock.com

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アメリカ大陸の人々にとって、アボカド(学名:Persea americana)は数千年前から重要な食物だった。中米ホンジュラスにある古代の岩陰遺跡で発掘された化石を研究者らが分析したところ、人類は1万1000年前にはアボカドを食し、7500年前にはアボカドを積極的に栽培していたことが判明した。この発見からは、中南米の先住民の間でアボカドの栽培が後にトウモロコシなど作物の栽培につながったことがうかがえる。

研究結果は学術誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載された。

「人々は文字どおり、森で栽培を行っていた」と語るのは調査結果をまとめた論文の主執筆者で米カリフォルニア大学サンタバーバラ校人類学部教授のアンバー・ヴァンデルワーカーだ。ヴァンデルワーカーは古代の植物と農業を専門としている。

今回の発見は農耕の始まりについての理解を変えるものだ。専門家の多くはこれまで、古代のアメリカ大陸の人々はトウモロコシを発見するまでは狩猟・採集を行っており、その後、畑を耕すようになったと考えていた。だが、アボカドの栽培は明らかにトウモロコシの栽培よりも先に行われていた。例えば、トウモロコシが最初に持ち込まれたとき、「先住民は種を植え、成長を管理するという概念をすでに理解していた」とヴァンデルワーカーは指摘する。

ヴァンデルワーカーらの研究チームは、ホンジュラス南西部にある巨大なエル・ヒガンテ岩陰遺跡内の堆積物を分析し、この事実を発見した。 岩陰遺跡(ロックハウス、アブリとも呼ばれる)とは、断崖や崖の麓にある浅い洞窟のような開口部だ。 洞窟は地下に何キロも広がっていることがあるが、それに比べると岩陰は大体が小規模だ。

エル・ヒガンテ岩陰遺跡は標高1300メートルのエスタンスエラ川沿いの火山性高原にある。この遺跡は1995年に初めて発掘され、2018年には科学者らが堆積物に埋まっていた化石の収集や分析、炭素年代測定を開始した。

この遺跡は非常に貴重だ。というのも、人々が長い間そこに継続的に居住し、古代の生ゴミが豊富に残されているからだ。

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翻訳=溝口慈子

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