スイス人富豪のトーマス・フローアが設立したプライベートジェットのリース企業、VistaJet(ビスタジェット)は3月17日、シンガポールを拠点とするプライベート・エクイティ企業のRRJキャピタルが主導する投資家グループから6億ドル(約899億円)を調達すると発表した。
ドバイに拠点を置くVistaは声明で、RRJキャピタルやニューヨークのAndalusian Private Capitalを含む投資家からの支援によって、資本構成の最適化や負債の削減が可能になると述べている。同社また、投資家層を広げることで、財務基盤を強化できるとしている。
「グローバルな存在感を持つVistaへのこの戦略的投資は、当社の新たなチャプターにつながるものだ」と、RRJキャピタルの共同創業者でCEOのリチャード・オンは声明で述べている。
RRJは、2011年に元ゴールドマン・サックスのリチャード・オンと、その兄であり、テマセクで最高投資責任者(CIO)を務めていたチャールズ・オンによって設立された。その運用資産は、250億ドル(約3兆7000億円)とされている。同社は、アジア太平洋地域や欧州、米国において、航空やヘルスケア、金融、物流、ハイテク分野への投資を行っている。
「今回の新たな投資は、当社の戦略と長期的なビジョンに対する強い支持の表れだ。当社は今後、素晴らしいパートナーを迎えることになる」と、Vista会長のフローアは述べた。
ニューヨークのローヌ・キャピタルの支援も受けるVistaは、プライベートジェットの需要が世界的に高まる中、フリートの拡充を進めている。フローアは、既存のこの分野のサービスに不満を感じたことで、2004年に自身のプライベートジェットの企業を立ち上げた。サブスクリプション制のプライベートジェット・レンタルサービスを提供するVistaは、この分野のパイオニアとして複数の買収を通じて事業を拡大した。同社は現在、360機以上のジェットをグローバルで保有している。