すべては人類がどれだけ賢くヒトゲノムを編集できるかにかかっているとジーは論じる。遺伝子編集によって望ましくない形質が取り除かれたり、水中でも呼吸できるなど現状では人工的手段なしには不可能な環境に適応できるようになったり、極限状態でも自力で生き延びられるようになったりするかもしれない。
集合知を活用せよ
膨大な世界人口が擁するあまたの頭脳にこれまで蓄積されてきた膨大な知識と知恵とを人類が活用できなければ、宇宙への植民は頓挫し、立ち消えになってしまうだろうとジーは言う。
人類の長年の遺産
6600万年ほど前に恐竜を絶滅させた小惑星の衝突が、哺乳類、ひいては人類が台頭する道を開いたと、私たちは繰り返し教えられてきた。しかし実際には、ホモ・サピエンスは数あるヒト科の一種にすぎない。約700万年前に東アフリカのサバンナに出現したホモ・サピエンスの遠い祖先が、その起源だ。
二足歩行、つまり2本の足で歩いて活動できる能力こそは、まさに人類の科学技術と宇宙旅行が可能な社会を発展させるカギを握っているようだ。だが、ジーが指摘するように、なぜヒト科の猿人が二足歩行の生活様式に移行したのかについては決定的な証拠がなく、今のところ推論が語られているのみだ。
しかし、二足歩行への進化の道のりは厳しいものだったはずだ。四つん這いでの移動に慣れた動物にとって、二足歩行はどこまでも不自然な動き方でしかない。だからこそ、ほんの短い間だけ二本足で立てるよう訓練されたクマがサーカスで喝采を浴びるのだ。
要するに、私たちホモ・サピエンスがこの世に生まれ、現生人類として今なお存在しているのは、まったく偶然の産物だということである。
結論は?
ホモ・サピエンスは今後1万年以内に衰退して絶滅するか、それとも協調努力によって宇宙に進出し、数百万年先まで繁栄を続けるか。そのどちらかだとジーは述べている。