「急場しのぎ」の発電手段
しかし、急成長するAI業界は、あらゆる手段を講じて電力を確保する傾向があり、移動式ガスタービンは急場しのぎの暫定的措置として利用されている。一方、固定式のガスタービンのメーカーは、需要に追いつけず、供給がほぼ危機的な状況にある。そのため、ソラリス・エナジー・インフラストラクチャーやAPRエナジーのような企業が、長期リースの形で移動式タービンを貸し出して、大きな利益を上げている。
「現状でタービンを保有している企業は今、とてもラッキーな状況にある」と、APRエナジーのCEOを務めるチャック・フェリーはフォーブスに語った。一方、時価総額が880億ドル(約13兆2000億円)の世界最大のタービンメーカー、GEヴェルノヴァのCEOを務めるスコット・ストラジクは、1月の決算説明会で、「2026年には大型固定式ガスタービンを、前年のほぼ2倍の70~80基生産する計画だ」と述べていた。
導入が容易な移動式ガスタービンは、xAIのデータセンターが位置するメンフィスのような地域では、厳格な排出規制の対象となっているが、現地の保健当局は、「xAIの施設の移動式タービンの許可に関して、具体的なスケジュールは決まっていない」と述べている。
xAIが承認を得ようとしている合計15基の移動式ガスタービンは、年間9.79トンのホルムアルデヒドを排出するとされているが、同社は、重要な規制の境界線となる年間10トンを超えないように、申請を行ったと考えられる。ホルムアルデヒドは、発がん性があることが知られており、米国環境保護庁(EPA)は、年間10トン以上のホルムアルデヒドを排出する施設を、「主要汚染源(major source)」に指定し、大気浄化法(Clean Air Act)の下でより厳しい規制と監視の対象にしている。