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2025.03.20 08:00

マスクのAIデータセンター、発電施設から「発がん物質」放出で非難

Shutterstock.com

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イーロン・マスクの人工知能(AI)企業であるxAI(エックスエーアイ)は、米テネシー州メンフィスにある巨大データセンターColossus(コロッサス)の稼働を急ぐあまり、電力の供給を自然災害時の電力復旧に使われる天然ガス発電タービンに頼っている。

この移動式のプラントは通常、緊急時の手段として使用されるもので、一酸化窒素やホルムアルデヒドなどの発がん性を持つ有害物質を排出することで知られている。xAIの施設には少なくとも4基のこの設備が導入された模様だが、ジャーナリストや環境活動家の報告によると、現地の保健当局はこの移動式ガスタービンの使用を承認していない。

環境保護を訴える非営利の法律団体、サザン・エンバイロメンタル・ロー・センターの弁護士であるパトリック・アンダーソンは、昨年8月に現地の保健当局に送った書簡で、xAIが必要な許可を取得せずにタービンを稼働させていることを確認し、適切な法的措置を取るよう求めていた。xAIは、フォーブスのコメント要請に応じなかった。

xAIの関連会社であるCTCプロパティが許可申請をシェルビー郡の保健局に提出したのは、今年の1月に入ってからだった。この許可申請は、すでに稼働中の4基の移動式ガスタービンに対する承認に加え、新たに追加する11基に対する許可を求めている。これらのタービンによって同施設の電力供給能力は、地元の電力網が提供する150メガワットに加えて、さらに150メガワットが追加され、全体でほぼ10万世帯分の電力に相当する規模になる。

移動式タービンは、従来の天然ガスを利用した固定式タービンに比べて安価で迅速に設置できるが、エネルギー効率は大幅に劣り、50%も低くなる場合があるという。また、排出される汚染物質が通常の発電施設に比べて著しく高いとされる。

「これは非常に短絡的で無駄の多いアプローチであり、経済的にも環境的にも非効率だ。自前のガス発電機を稼働させるのは、電力網から電力を購入するよりもはるかにコストが高い」と、ライス大学の土木環境工学教授であるダニエル・コーハンはフォーブスに語った。

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編集=上田裕資

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