こうしたバッシング対策は大げさに聞こえるかもしれないが、「woke(ウォーク)」(社会問題に関する意識が高いリベラル派をやゆする表現)とみなされたゲームや、反DEIに反発する発言を理由に、ゲーム開発者個人が攻撃された例はこれまでに数多くある。これにはオンライン上での個人攻撃の他、YouTube動画のサムネイルに本人の顔写真を貼り付けて批判するといった悪質なケースもあった。時には、進歩的なメッセージが入ったTシャツを着ていたり、自分の性自認に合った代名詞(「彼」「彼女」など)は何かを公言していたり、はたまた特定の色の髪をして動画に映ったりした開発者が、今どきのゲームの「問題」としてやり玉に挙げられることまである。
Ubisoftの従業員の多くは、同社に所属していることや、『シャドウズ』開発に携わっていることに言及しないようにしているが、全従業員がSNSの使用に関する同社の勧告に従うかどうかは不透明だ。弥助が主人公の1人であるという設定を変えずリリースされた『シャドウズ』に、世間一般がどう反応するかも、今のところわからない。男性が主人公だった『Ghost of Tsushima』が時代を変え、女性を主人公とした続編『Ghost of Youtei』が今年発売される際には、同系列の論争が再び巻き起こるかもしれない。いずれにしても、新作ゲームのリリースには、常に「DEI」への激しい反発が付きまとうようだ。少なくとも米国では、こうした傾向がかつてなく強まっている。