オート・オロロジーの時計2本
・オーデマ ピゲ コード 11.59
「ロイヤルオーク」一辺倒だと批判されてきたオーデマ ピゲは、コレクションを拡充するためにコード 11.59を発売したが、当初の評価はかなり厳しかった。しかし、時間が経つにつれて初期の酷評がやわらぎ、市場も当初ほど悲観的ではなくなっている。中古市場はまだ安定していないが、回復の兆しが見え始めている。ロイヤルオークを逃した人にとっては、今もドックで出番を待っている船のような存在だといえる。
・ローラン・フェリエ ガレ スクエア
パテック フィリップで経験を積んだ巨匠の手による至高の1本を手にするのは、夢のまた夢に思えるかもしれない。しかし、ローラン・フェリエの控えめな美学とビンテージライクな魅力は広く知られておらず、とりわけアール・デコ調のガレ スクエアは中古市場で苦戦している。そのため将来的に大きく再評価される可能性を秘めた、魅力的な選択肢であるといえる。
さらに自分としては、オート・オロロジーの候補にもう1つ、パテック フィリップのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフを挙げたい。これはまさしく「クラシック中のクラシック」であり、いまやオークションで10万ドル(約1493万円)を下回る水準まで下がってきた。この額でも依然として高嶺の花だが、ここ数年で乱立した法外に高価な新興ブランドとは格が違う、元祖「至高の時計」の1つであり、その地位は揺るがない。
個人的にはミニッツリピーター(音で時刻を知らせる機構)への憧れが強く、いつかきっと自分の腕に収まるはずだと思っている。これから世界的な経済の混乱が訪れると予測されるが、それがむしろ自分の願いを後押ししてくれるかもしれない。新たな混沌の時代が始まるにあたっては、ただ手元の資金を温存するのではなく、バーゲンセールが始まるその瞬間に備えてさらに積み増しておくのが得策だ。
どんな雲にも銀の裏地がある(「どんな困難にも希望がある」という意味)、とはよく言ったものだ。