日本の自動車メーカーの日産は、英国ロンドンの北約80キロに位置するクランフィールドにある研究開発拠点「日産テクニカルセンター・ヨーロッパ」で、「evolvAD」と呼ばれる自動運転車両のテストを行ってきた。この車両は、日産リーフに15台のカメラや6つのLiDARセンサー、レーダーを搭載したものだ。
日産は、8年間におよんだこのプロジェクトで2万5000キロのテスト走行を無事故で完了させたが、その終了にあたって、3月14日にジャーナリストを招いたイベントを開催した。日産の研究開発拠点の周辺の道路は、田舎道と市街地が混在しており、多くの障害物があるが、このイベントにおける障害物の1つが、車両の前に意図的に自転車で割り込んだ筆者だった。
しかし、筆者は危険な目には遭わなかった。日産の自動運転車両には、英国でテスト中の他の車両と同様に、セーフティドライバーが乗車しており、必要に応じてすぐにハンドルを握る態勢をとっている。筆者は、事前にこのドライバーに自分がやることを伝えていたので、急ブレーキをかけ、車両を減速させたときも、それは想定内の出来事だった。
2017年、ロンドンでテストされていた以前のバージョンの車両が自転車と接触し、やや悪い評判を招いたことがある。そのため、最新のevolvADは、自転車や馬に乗った人などの低速の移動物を追い越さないようプログラムされている。追い越しをする場合は、人間のドライバーが運転操作を行い、英国の交通法規に沿ったスペースを確保することになっている。evolvADは、自転車を追い越すことが可能だが、対向車線に出ることは許可されていない。
後続の車両が私を追い越せないとわかっている状態で、筆者は意図的に自転車のスピードを落としてみた。リーフの後ろにいたアウディのドライバーは、この慎重すぎる自動運転の車両に耐えられなかったようで、スピードを上げて私とリーフの両方を追い越していった。ロボットのドライバーは忍耐強く、中指を立てたりはしない。
だからといって、日産の自動運転車が遅いわけではない。筆者はその後、自転車を降りてセンサーが満載のリーフに20分間試乗したが、この車両は、前方に障害物がなければ、かなりアグレッシブに走る。ラウンドアバウトでは、時速約30キロから約96キロまですばやく加速したが、道路の端をしっかりと捉え、ホイールのセンサーによって最適なグリップを維持していた。日産によると、evolvADは「高度な運転技術を習得した人間のドライバー」のように走るよう調整されている。