洋楽のヒットナンバーを聴き、歌詞を読みながら英語が学べる。ユニバーサル ミュージック グループの日本法人であるユニバーサル ミュージック合同会社が、学校教育の副教材として独自に開発した「UM English Lab.(ユーエム・イングリッシュ・ラボ)」の提供を3月14日に始めた。同社が新たに英語教育のビジネスを開拓する背景には、コロナ禍の頃から日本の音楽シーンに広がる「洋楽離れ」に歯止めをかける狙いもある。
レコード会社が開発した学校向けの英語教材
ユニバーサル ミュージックは3月14日に都内の公立中学校で、ユーエム・イングリッシュ・ラボの発表イベントを兼ねた記者説明会を開いた。
ユーエム・イングリッシュ・ラボは小中高校で英語を指導する教師のための副教材としてサービスを開始する。コンテンツはすべて無料で公開されるが、教師は事前に会員登録が必要。登録後に届くパスワードからサービスのウェブサイトにアクセスすると教材がダウンロードできる。

楽曲の歌詞やレクチャーシートなどの情報をまとめた教材はユニバーサル ミュージックが独自に制作する。副教材として、教師はラボの教材を自由にアレンジしながら授業をすることができる。
「課題曲」として使う楽曲は教材に埋め込まれたリンクからYouTubeにアクセスして再生する。コンテンツを英語教育の目的に使えるように、著作権処理などはあらかじめユニバーサル ミュージックが済ませる。テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュにレディー・ガガなど、10代の若い生徒たちにも耳馴染みのあるアーティストの楽曲を中心に、今後は「教材化」された楽曲を順次サービスに追加する予定だ。

イベントに登壇したユニバーサル ミュージックCEOの藤倉尚氏は「若い生徒たちが洋楽のヒット曲を聴きながらゲーム感覚で気軽に英語を学べるように教材を開発した」と特徴を語った。同社はラボを開設する前にいくつかの学校で先行体験授業も実施した。イベントの会場を提供した渋谷区立原宿外苑中学校も体験授業のプログラムに参加した学校のひとつだ。同校の駒崎彰一校長は「これからの未来を担う生徒たちが、最新の洋楽に触れて活きた英語を学び、作品の背景にある文化、学問としての音楽にも興味が視野を広げられる一石三鳥の教材だ」としてユーエム・イングリッシュ・ラボの出来映えを高く評価している。