新たに完成したこの施設では現在、都市計画からセラミック彫刻、パフォーマンスなど、多方面で活動する米国の著名アーティスト、シアスター・ゲイツの個展「The Ever-Present Hand」も開催中。日本製の黒のセラミックタイルを床に敷き、来場者にその上を歩いてもらう作品などが展示されている。
ゲイツの作品のうち、最もよく知られているものに、彼が「師事した日本の陶芸家、山口庄司への敬意を払った」とされる日用品などのシリーズがある。「日本から米ミシシッピ州に渡り、その土地の特別な粘土に魅せられて定住。黒人女性と結婚し、ともに窯元を設立、アジアとアフリカ系アメリカ人たちに受け継がれた技法を融合し、独自の陶器をつくり出した」というその陶芸家は、実際にはゲイツが生み出した架空の人物だ。
ゲイツは政治的、人種的に敏感な黒人の美学と、中国、韓国、日本の陶芸といった創造の伝統を融合させることが持つ力を自ら造り出した「アフロ民藝」という言葉で表現している。その「民藝」のコンセプトが強調するのは、無名の工人たちが作った日常的なものが持つ、言葉では言い表すことができない美しさだ。
一方、財団の収蔵品を展示する「Connections」は、清朝時代の1770年ごろに作られた「カニをかたどったチュリーン(蓋つきの深皿)」や、16世紀後半の「踊る女性をかたどった銚子」、明朝第17代皇帝、崇禎帝の時代に作られたとされる「17世紀のペルシャ、サファヴィー朝時代の女性たちを描いた皿」などを展示している。
前出のマリアナは展覧会のプレビューで、このプロジェクトは自らの祖父のコレクションに敬意を表するものであると同時に、「生きた芸術の形態のひとつとしての陶芸に関する対話を促し、創造性を刺激するもの」だと説明。「文化遺産をたたえ、社会に影響を与え、陶芸界におけるイノベーションを促すことが、私たちの使命です」と述べている。
シアスター・ゲイツの「The Ever-Present Hand」は2025年6月1日まで、「Connections」は2026年8月30日まで開催している。


