「裕福」であるかどうかは、単に稼いだ金額だけで判断できるものではない。周りの人と比べて経済的に恵まれているかどうかは、就いている職業や可処分所得、貯蓄など、さまざまな要素によって決まる。年齢によっても経済力の基準は異なるだろう。扶養家族が何人いて、どのように養っているのか。さらに、不動産などの資産を所有しているかどうかによっても左右される。
調査によると、私たちの多くは、自分はごく普通で、周りの人たちと比べても平均的な収入を得ていると考えているようだ。だが、英国には自身の収入を他者と比較することができるツールがある。同国で富裕層とされる人たちに関する調査結果も参考になるかもしれない。
英国人の平均年収は?
統計によって算出方法にはばらつきがあるものの、英国人の平均年収は約3万ポンド(約577万円)だ。英紙ガーディアンは、英国人の税引き前の平均年収は3万4963ポンド(約672万円)だと伝えているが、英紙テレグラフは2万9328ポンド(約564万円)だとしている。英国家統計局(ONS)によると、2021年の同国の平均年収は3万1400ポンド(約604万円)だった。年間5万9200ポンド(約1138万円)以上稼げば、上位10%の高所得者だ。
英国の富裕層とは?
ONSが2018年4月~20年3月に行った英国の「富と資産に関する調査」では、貯蓄額や住宅ローン控除後の家屋の価値、美術品や投資から得られる不労収入などを基に家計の富を算出している。
これによると、英国の世帯純資産の中央値は30万2500ポンド(約5816万円)で、地域別で見ると南東部の50万3400ポンド(約9677万円)が最も高く、年齢別では世帯主が55歳以上の場合が多かった。同国の下位10%に当たる世帯の資産は1万5400ポンド(約296万円)以下だったのに対し、上位1%の世帯は360万ポンド(約6億9212万円)以上の資産を保有していた。実際、英国に拠点を置く国際支援団体オックスファムの23年の報告書によれば、この上位1%の富裕層は同国の人口の7割が保有する資産より多くの富を保有している。この英国で最も裕福な1%の人々は20年以降、新たに21兆ポンド(約4037兆円)もの富を得た。これは世界の人口の下位99%が保有する資産のほぼ2倍に相当する。
ONSの統計によると、上位10%の世帯の可処分所得は年間7万900ポンド(約1363万円)であるのに対し、下位10%の世帯は平均1万600ポンド(約204万円)だった。