これを含め、第47機械化旅団のM1はこれまでに少なくとも10両が撃破されるか鹵獲され、損傷・遺棄分を含めた損害は19両にのぼる。同旅団にとって幸いなことに、オーストラリア軍で余剰になった49両のM1が近く、オーストラリアからウクライナに届く見込みだ。
M2ブラッドレー歩兵戦闘車
重量30t弱、乗員3人を含む搭乗可能人数10人のM2ブラッドレー歩兵戦闘車は、ロシア・ウクライナ戦争で使用されている戦闘車両では最高のものかもしれない。ブラッドレーは機動力、防御力、火力のバランスに優れ、高速で射撃する25mm機関砲も威力を発揮している。
バイデン政権はウクライナにM2を300両超供与し、ウクライナ軍はそれらを、第47機械化旅団の複数の大隊を含む少なくとも6個の大隊(各31両)に配備した。ウクライナ国内やロシア西部の攻防で奮戦してきたこれらの部隊は、愛用するブラッドレーを先週までに少なくとも80両撃破されるか鹵獲されていた。
クルスク州で新たに鹵獲されたM2は、81両目の損失だったのかもしれない。
[New 🇺🇦 loss detected]
— LostWar Bot (@LostWarBot) March 11, 2025
A captured M2A2 ODS-SA Bradley BRAT IFV of the Ukrainian Armed Forces with a protection cage near the village of Nikolsky in the Kursk region.
( pic.twitter.com/V3FkQA9DPF
ウクライナにとってさらに悪いことに、ドナルド・トランプ米政権が米陸軍の余剰分からの追加供与を約束しない限り、ウクライナにこれ以上ブラッドレーは届かない。
トランプは2月28日、ホワイトハウスの大統領執務室で行ったウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領との惨憺たる首脳会談のあと、ウクライナへのすべての軍事援助を一時停止した。記者団に公開されていたこの会談で、トランプとJ・D・バンス米副大統領はゼレンスキーに、米国によるこれまでの援助に対する感謝が足りないなどと荒唐無稽な非難を浴びせた。その後、援助停止は解除されることになったものの、M2を運用するウクライナ軍部隊は新たな供与に期待しないほうがいいだろう。
M777榴弾砲
2022年春、ウクライナに英米製M777榴弾砲の最初の供与分が届いたことは、同年2月からロシアによる全面侵攻を受けていたウクライナにとって転機になった。それは、ウクライナ軍の砲兵部隊が、時代遅れの旧ソ連製大砲・砲弾から最新の西側製大砲・砲弾への切り替えを徐々に進めていく始まりだった。