Kettle & Fireの製品は、鉄分やオメガ3脂肪酸、ビタミン類などの栄養素が豊富に含まれるグラスフェッドの牛肉のみを用いているが、複数の査読つきの論文で、この牛肉の栄養価の高さは確認されている。2010年に発表された研究では、グラスフェッドの肉にはビタミンAとE、さらに抗がん作用のある抗酸化物質が多く含まれていることが確認された。また2022年には、2つの研究でグラスフェッドの肉がより良質なオメガ3脂肪酸やその他の栄養素を含んでいることが明らかになっている。
Kettle & Fireの事業の立ち上げのタイミングは、古代に食べられていたとされる内臓肉や季節の果物などを重視する食事法の「パレオダイエット」と厳しい糖質制限によって健康を維持する「ケトダイエット」の流行と時を同じくしていた。食料品業界の調査企業SPINSによると、パレオ食品の売上高は7億5000万ドル、ケト食品の売上は5億ドル(約743億円)に達している。
「現代の消費者は、栄養の密度と品質を切り離せないことに気づき始めている」とマレスは言う。「工場のような飼育場で育てられた動物を使い、短時間の調理で済ませるなら、決して良い食材とは言えない。そのような食品は、栄養価が低く、健康にとっても良くない」
マレスらは、このような理念を共有できる投資家のみから資金調達を実施し、2016年に100万ドル(約1億4900蔓延)弱を調達。その2年後には、健康志向の高いブランドへの投資に特化したロサンゼルスのCavu Consumer Partnersの主導で1600万ドル(約23億8000万円)を調達した。
食品システムを変える
その後の18カ月で、Kettle & Fireはこの資金を活用し、販売店舗数を3000店から1万店に拡大。売上は3500万ドル(約52億円)を超え、製品ラインをケトダイエット関連に広げた。その結果、同社は2020年に初めて黒字化を達成し、その後の2年間で、コストコやウォルマートなどでの販売を開始した。
Kettle & Fireの主力製品は、牛と鶏のボーンブロスだが、2021年には環境に配慮した飼育方法で育てられた牛と鶏を使用した「リジェネラティブ」と銘打った製品ラインを投入した。
「このラインは、会社にとって最も利益率の高い製品ではない。でも、私たちは、食品システムを良い方向に変えようとする最初のブランドの1つになることを目指している」とマレスは述べている。
Kettle & Fireはまた、ハワイの野生のシカ肉ブランド「Maui Nui」と提携し、新たなボーンブロスのラインを立ち上げようとしている。これらの製品は今春、ペンシルベニア州ランカスターで稼働予定の初の自社工場で生産されることになる。ここでは150人の新規雇用が見込まれている。
「人々の健康に配慮した食品企業を築くことは、この国で最も大きなビジネスチャンスの1つだ。利益率の高い中毒性のある超加工食品を作るのではなく、健康を最優先に考えた食品作りをすることが重要だ」とマレスは語った。


