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海外

2025.03.14 12:00

AI創薬の「インシリコ」がユニコーンに、163億円を新規調達で

インシリコの創業者で共同CEOのアレックス・ザボロンコフ(C)Insilico Medicine

インシリコの創業者で共同CEOのアレックス・ザボロンコフ(C)Insilico Medicine

香港とボストンに拠点を置く人工知能(AI)を活用した創薬企業、Insilico Medicine(インシリコ・メディシン)が、香港の資産運用会社バリュー・パートナーズ・グループが主導した資金調達ラウンドで1億1000万ドル(約163億円)を調達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たした。

インシリコは3月12日、今回のシリーズEラウンドで同社の評価額が10億ドル(約1480億円)を超えたと発表した。同社のこれまでの出資者には、米国のプライベートエクイティ大手のウォーバーグ・ピンカスや、中国の啓明創投(Qiming Venture Partners)、医療メーカーの無錫薬明康徳(WuXi)、以前はセコイア・チャイナとして知られた紅杉資本(ホンシャン)などが含まれる。

同社は、調達した資金をAIモデルの改良や、30種類にわたる候補薬の開発強化に充てるとしている。インシリコは2023年11月に、特発性肺線維症(IPF)に対する画期的な候補薬であるRentosertib(レントサーチブ)が米国の中期臨床試験で良好な結果を示したと報告した。この新薬は、加齢関連疾患の治療にも役立つとされる。

インシリコの創業者で共同CEOのアレックス・ザボロンコフは、「もし今後5年以内にレントサーチブの承認を獲得すれば、私たちは歴史を作ることになる」と述べている。

2014年に創業のインシリコは、AIとロボティクスを活用して、時間のかかる創薬プロセスを迅速化し、成功率を高めることを目指す企業の1つだ。同社は、従来の方法では30~48カ月かかる初期段階の創薬プロセスを、12~18カ月に短縮できると主張している。インシリコは最近、中国の蘇州にある研究所で、実験の監督などを行う人型ロボット(ヒューマノイド)を導入した。

同社は、中国の復星医薬(Fosun Pharma)やイタリアのMenarini Group、米国のExelixisらに候補薬の一部をライセンス供与するための総額21億ドル(約3310億円)以上の契約を結んでいる。さらに、AI創薬ソフトウェアの提供を通じて14億ドル(約2100億円)以上の収益を上げている。

インシリコは、2023年と2024年に香港での新規株式公開(IPO)を申請したが、市場環境の弱さの中でその機会を見送った。ザボロンコフは、今も香港での上場を検討しているものの、具体的なスケジュールを明かしていない。

「昨年のIPOを見送ったのは、レントサーチブの第2相試験の結果を待っていたためだ」と彼は説明した。

インシリコの競合にあたるAI創薬のスタートアップXtalPi(晶泰科技)は、昨年6月に香港取引所に上場し、9億香港ドル(約180億円)を調達した。深圳を拠点とする同社の株価は、DeepSeekの人気に牽引された中国国内のAIブームの中で、それ以降に20%以上上昇し、時価総額は13日時点で約33億ドル(約4890億円)に達している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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