政治

2025.03.14 09:00

米国抜きで欧州はロシアの攻撃から自衛できるのか? NATOの基盤が揺らぐ中

ドイツ・ホーエンフェルス近郊で行われた北大西洋条約機構(NATO)の軍事演習で、アパッチ攻撃型ヘリコプターを準備する兵士。2025年3月12日撮影(Sean Gallup/Getty Images)

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表した最新の資料によれば、ポーランドだけが突出しているわけではない。米国の対欧州武器輸出は、15~19年までの期間から20~24年までの期間に3倍以上に増加した。最近では、ドイツ向けのパトリオットミサイルやチヌーク大型輸送ヘリコプターのほか、ギリシャ、ルーマニア、チェコ向けのF35戦闘機、オランダ向けの戦術ミサイルやミサイル防衛システムなどが米国から輸出された。こうした取引が継続されれば、欧州諸国の国防軍は戦闘機やミサイル防衛システム、戦術ミサイルといった軍事技術を今後何年も、いや何十年も米国に依存し続けることになるだろう。そこで鍵となるのは、欧州の主要国が「欧州製品を購入する」方向に転換し、こうした米国との多額の取引から1件でも撤退するかどうかだ。

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米紙ウォールストリート・ジャーナルは、欧州諸国の防衛予算の増額は合計で1500億ドル(約22兆2700億円)程度に達する見込みで、欧州の防衛産業に好景気をもたらす可能性があると伝えた。仏タレス、独ラインメタル、英BAEシステムズといった欧州の大手軍需企業の株価はすでに上昇し始めている。欧州諸国の政府が公約通りに防衛費の増額を実現し、その資金が米国から兵器を輸入するためではなく、主に欧州で支出されることを前提に、ヘッジファンドによる欧州の軍需企業への投資も急増している。

ところが、これまで欧州の主要国による防衛費増額の公約は実現しておらず、戦闘機やミサイル防衛システムといった基本的な軍事システムを米企業に依存している現状をそう簡単に打破することはできないだろう。ロシアがウクライナに侵攻し、欧州は自国の防衛に力を入れるべきだというトランプ政権の警告が相まって、現在のような特殊な状況に陥っていることは認める。だが、欧州各国が互いに補い合いながら効率的に役割分担し、共通の計画の下で軍需品の購入を調整しない限り、単に支出を増やすだけでは防衛力の大幅な向上は確実なものとはならないだろう。

新たな支出によって首尾一貫した欧州の防衛体制が築かれ、欧州企業が防衛システム一式を供給し、米企業との間ですでに成立している複数の大型取引が縮小して欧州企業に入る余地が確保されない限り、欧州の軍需企業株に対する投資家の熱意は長続きしないかもしれない。これは単にお金をつぎ込めば良いという単純な問題ではないのだ。

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forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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