行きつくところは「人の気持ち」
社内には発信とコミュニケーションを尽くすとして、買収先に関してのケアやPMIについてはどうしているのか聞いてみると、「PMIは“100日プラン”をつくっています。決算期をどう合わせるか、経理や人事、セールス、プロダクトと、やることはいっぱいあるので、機能ごとにプロジェクトチームを作り、トップ同士も定期的に１on１を行うなど仕組み化しています。でも、その時々で事情も異なるので、仕組みよりもグループジョインしてもらった会社すべてに良かったと思ってもらうための“覚悟”の方が大事ですね。社員もお客さんもステークホルダーもみんな良かったと思ってもらうことが僕のミッションでもあるからです。あとM&Aの発表日は、社外への戦略発表も大事ですが、それ以上に大切にしているのが、M&Aされた会社に行って、僕と相手方のトップとで社員と話し、安心してもらうことです。結局、人の気持ちが一番大事ですからね」と辻は言う。
人の気持ちに向き合い、ゆるやかに同じ未来を描く形でグループをまとめてきたマネーフォワード。もちろんM&Aのやり方はそれだけではない。敵対的買収もあれば、社名や社風を買収した側に合わせていくストロングスタイルの企業グループもあり、どちらが正解ということはない。しかし、トップの人となりがM&Aには如実に表れる。では、辻はこのスタイルを、誰かもしくはどこかの企業を参考にしたのだろうか。聞いてみると、国内のみならず海外事例についてもよく調べているそうだ。
