これから必要なのは「AIを活用するスキル」
近年、AIが私たちの仕事を奪うのではないかという議論が世界中で巻き起こっている。この点についてウェイル氏は、SF映画を引き合いに、「実際にはそう簡単な話ではない」と断言する。これまでは動画の制作に時間とコストがかかっていた。しかし、オープンAIの動画生成モデル「Sora」を活用すれば、半日で30種類のカットシーンを試せる。また、AIとブレインストーミングを行い、「もう少しこういう雰囲気にしてほしい」といったやり取りをしながら、最適なシーンを選べる。最終的に、そのシーン(アイデア)をVFXスタジオに持ち込めば、従来よりも大幅に低いコストで高品質の映像を制作できる。このように説明したウェイル氏は、「AIは無限に辛抱強く、クリエイティブなパートナーとして機能する」と評価した。
ウェイル氏は、「AIを活用するスキル」こそがこれからの時代に必要だと考えている。例えば文章を書く際、「この段落をもっと引き締めるにはどうしたらいい?」「どこが弱いと思う?」のように、AIとうまく対話するスキルがそうだ。ウェイル氏は「これからの時代、教師もそうした(AIと対話する)スキルを生徒に求めるようになる」と予測する。
ビジネスパーソンは「活用法」に関心
ウェイル氏のセッションが象徴するように、HumanXは「AIをどのように活用できるのか」を議論する意味で一貫性があった。未来予測も大事だが、特にビジネスパーソンや経営者は「今どうやって活用できるのか」の方に関心がある。独自の立ち位置を確立したHumanXは2026年、米国カリフォルニア州サンフランシスコに会場を移して開催されることがすでに決まっている。今後、AI業界において重要な位置付けとなることを予感させるカンファレンスであった。