「ご提示」の意味とは?
「ご提示」とは、「提案や見積もり、資料などを相手に差し出す・示す」という意味を持つ表現です。「提示」という言葉自体は「見せる」「示す」を意味し、それに丁寧な敬語表現「ご」が付与された形が「ご提示」となります。相手に何らかの情報や条件、証明となるものを差し出すときや、内容を提示して確認を求める際に使われます。
ビジネスにおいては、契約内容の見積書を渡す際、あるいは提案書やプレゼン資料を差し出す際に「ご提示いたします」と言えば、丁寧かつフォーマルに相手へ情報を渡す行為を表すことができます。シンプルに「提示します」でも意味は伝わるものの、ビジネスの場ではより礼儀正しい印象を与える「ご提示」が好まれる場合が多いでしょう。
ビジネスシーンでの使い方
「ご提示」は、相手に向けて何らかの案や情報を渡す、見せるときに使われます。書面でのやり取りはもちろん、会議や商談で発言するときにも、「この資料をご提示させていただきます」「こちらの条件をご提示いたします」と言えば、敬語として適切な言い回しになるでしょう。
この表現には「(相手にとって必要な)情報を提供する」というニュアンスが込められているため、契約や見積もり、プレゼンテーション資料の共有など、さまざまなビジネス場面で汎用的に活用できる点が特徴です。
具体的な活用事例
- 契約時:
契約書を相手に差し出すとき「契約条件をこの書面でご提示いたしますので、ご確認をお願いいたします。」 - 見積もり依頼時:
複数の企業に相見積もりを依頼されたとき「当社としては以下の価格と仕様をご提示させていただきます。」 - プレゼン資料:
会議で意見を出す際「新しい戦略案をこちらのスライドでご提示しますので、ご検討いただけますか。」
いずれのケースでも、相手に情報を受け取ってもらう場面で用いられるのが「ご提示」という言葉です。「あなたにこの情報・資料を丁寧に差し出しますよ」という敬意が表現されているため、ビジネスコミュニケーションでは頻繁に使われます。
ご提示の注意点
「ご提示」は便利な表現ではありますが、使いどころを間違えたり、過剰に使いすぎると、不自然に響いたり誤解を招く可能性もあります。以下の点を意識しながら使用するのがおすすめです。
必要以上に多用しない
丁寧な表現だからといって、ひんぱんに「ご提示」「ご提示」と繰り返してしまうと、くどい印象を与えかねません。メールや会議で多用すると相手にとって読みづらい、あるいは聞きづらいメッセージになる可能性があります。「提示」と「ご提示」のバランスや回数に気を配りましょう。
伝えたい情報を明確にする
「ご提示いたします」と言うだけでは、相手が「どんな情報が出されるのか」「何を求められているのか」理解しにくい場合があります。どの条件を提示しているのか、何を検討してほしいのかを具体的に記載することで、相手の混乱を防ぎ、やりとりを円滑にすることができます。
タイミングを考慮する
提案や資料を相手に渡す時期や方法も大切です。早すぎる段階で詳細を「ご提示」すると準備不足のまま共有となり、相手に不完全な印象を与える恐れがあります。一方、遅すぎると検討時間を十分に確保できません。相手の業務スケジュールや会議のタイミングに合わせ、適切な時期を見極めて示すようにしましょう。
類義語・言い換え表現
「ご提示」の意味を持つ言葉には他にもいくつかのバリエーションがあり、状況や相手との距離感に応じて使い分けると文章や会話に幅が出ます。以下に「ご提示」と似たニュアンスを持つ表現を示します。
「ご提案」
「ご提案」は、相手に対してアイデアや案を差し出す意味を強調した表現です。価格や条件の他に、解決策や新しい戦略など「創造的な案」を提示するときには「ご提案」という言葉がしっくりくるでしょう。
「お示しする」
「お示しする」はやや幅の広い意味合いを持つ表現で、相手に情報を見せる・伝える行為を丁寧に言い表しています。必ずしも提案や条件に限らず、スケジュールやデザイン案、説明資料などを渡す場面でも問題なく使える万能さが特徴です。
「お持ちする」
物理的に何かを手元に用意して相手に届けるというニュアンスに焦点を当てたい場合には「お持ちする」を使うと、具体的に「資料を携えて相手の場所へ行く」というイメージを与えられます。宅配便や郵送、メール送付が主体の場合は、逆に使いづらい場合もあるため、方法に応じて表現を選ぶと良いでしょう。
例文:ビジネスでの使用例
ここでは、「ご提示」をどのようにビジネス文書やメールで使うか、あるいは会議などの口頭表現においてどう表現できるか、具体的な例文を挙げています。
メール文章例
- 「先日のご依頼に関するお見積りを、添付ファイルにてご提示いたします。ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」
- 「スケジュールの調整案をまとめましたので、別紙にてご提示いたします。必要に応じて修正点をお知らせください。」
メールで使用する場合は、具体的に何を送付しているのか、相手がどう確認すればよいのかを明確に書くと、より親切で分かりやすいです。
会議やプレゼンでの使用例
- 「まずは我々のコンセプトをご提示しますので、次のステップとして詳細部分を議論できればと考えております。」
- 「このグラフでは、売上推移に加えてコスト構造もご提示しております。ご覧いただいたうえでご意見をいただけますか。」
いずれの文例でも、「ご提示」はあくまで相手に対して丁寧に情報を差し出すイメージを含んでいます。議論の前段階として「まずこの情報をチェックしてほしい」という意図が伝わるでしょう。
まとめ
「ご提示」とは「提案や見積もり、情報などを相手に示す」ことを敬語で表した言葉です。ビジネスにおいて、条件交渉や資料提出など幅広い場面で使われますが、必要以上に多用せず、具体的に何をどう見せるのかを明確に伝えるのが成功のコツとなります。
また、類義語としては「ご提案」「お示しする」「お持ちする」などが挙げられ、状況に応じて最適な表現を選ぶことで、相手に対してよりわかりやすいコミュニケーションを図れます。大切なのは、「ご提示」で終わらせるのではなく、相手がそれを受け取ってどう判断すればよいのかも含め、スムーズなやり取りへとつなげることです。ぜひビジネスシーンで上手に使い分けてみてください。