Web3は投機対象から真の姿へ変化を始める:イーサリアム財団 宮口あや氏

Shutterstock.com

シンガポール政府が19年に開始した「OpenCerts」という国家プロジェクトも興味深い。各学生の学位証書や成績証明書をブロックチェーン上で発行・管理し、改ざん防止と検証プロセスの簡素化を目的としている。OpenCertsはイーサリアムのブロックチェーン技術を基盤としている。実は、私がこのことを知ったのはずいぶん後になってからだ。イーサリアム・ファウンデーションはイーサリアムを所有しているわけではないので、どこでどう活用されているのかをすべて把握しているわけではない。おそらく今も、さまざまなアプリケーションが生まれているだろう。

advertisement

──IDの管理には、プライバシーの保護やセキュリティ面の強化が不可欠です。

宮口:イーサリアムなどのパブリックブロックチェーンは、セキュリティは強いがプライバシーの保護が大きな課題だった。しかし、ここ数年でゼロ知識証明(特定の情報を知っていることを、具体的な事実を明らかにせずに数学的に証明する技術)などの研究開発が進み、ブロックチェーン上でできることが一気に増えた。
 
ブロックチェーンはノード(ネットワークに接続された各コンピュータやデバイス)が取引の検証や記録を行い、信頼性や安全性を確保しているが、イーサリアムはノードの分散も重要視している。ノードが一国のサーバー内だけにあったりすると、その国に不測の事態が起きたときにリスクが伴うからだ。

──この先、イーサリアムを使ってどんなモノが世の中に生まれてほしいですか。

advertisement

宮口:個人的には、公共性が高いものほど相性がいいと考えている。例えば、ロシアで実験的に使われた「Russia2024.net」だ。24年7月に、ブロックチェーンのプラットフォームを用いてプーチン大統領の信任を問う国民投票が実施された。投票は匿名化され、完全なプライバシーが保証される仕組みを用いることで国民が意思を表明しやすくした。このようなアプリケーションが構築されることで、世界や社会の不均衡が改善されることを期待している。


宮口あや◎米国でMBAを取得後、2013年に仮想通貨交換業者Krakenの立ち上げに参 加。18年にEthereum Foundationのエグゼクティブ・ディレクターに就任。イーサリアムの研究開発支援やオープンソースコミュニティの発展、エコシステムの教育に従事。

文=瀬戸久美子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事