彼はコパイバマリマリの営業をして、とある年配の経営者からこう言われたことがある。「文明は消費されてしまうものだが、文化はそう簡単に消費されるものではない」と。
文明とは人の進歩と発展が生み出した技術の集合体だという。テクノロジーは生活を楽にしてくれる。すぐに普及して社会を変える力をもつが、しかし、次々と新しいものが生まれ、消費されるのも早い。一方、文化とは生活のなかで人々が積み重ねてきた、いわば人の営みの結晶のようなものだ。生き方・暮らし方に根づいた民族的アイデンティティである。それゆえに安売りされるものでもなければ、簡単に消費されて廃れていくものでもない。
コパイバマリマリはまさにインディオと森の文化であり、無下に扱うこともできないし、安売りもできない。彼は「僕がやることに意味があるのだろう」と考える。
日本にも大勢の外国人が観光にやってくる。日本の文化について同じように考えたことがあっただろうかと我が身を振り返った。
さて、コパイバマリマリの販売はコロナ禍で打撃を受けた。販売してくれているサロンやクリニックが閉店してしまったからだ。
彼は、コパイバマリマリを売るために、YouTuberに南米行きを依頼した。ジョーブログという243万人のフォロワーをもつYouTuberは快諾して、アマゾン旅行記を動画にした。
オーガニックな商品と、ジョーブログというキャラクターが違いすぎるのではないかと吉野さんに聞くと、彼はこう答える。
「ジョーブログさんのお肌がきれいだという理由もありますが、依頼した大きな点はコパイバマリマリの世界観を、まったく知らない別の世界で生きている人たちの世界観に橋渡ししてほしかったからです。それができるインフルエンサーがジョーブログさんだと思いました」
南米旅行記のシリーズ動画は合計で400万回を超える再生を得た。そして、コパイバマリマリは品切れになる勢いで売れた。
まだゴールは遠いですけどねと、吉野さんは言う。そして、こう笑うのだった。
「おらが村の一村一品自慢みたいなものです」
追記:南米アマゾンの森で伝承される樹液で作った製品をフェアトレード商品として販売し、収益を先住民インディオの経済的自立や教育支援に役立てるなどの功績が認められて、ジャングルサポートクラブは社会貢献支援財団の「第59回社会貢献者表彰」を受賞している。本稿は2024年大分県主催「OITAゼロイチ」でForbes JAPAN編集長賞受賞記念の記事である。


