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経済

2025.03.12 09:30

「物価上昇=インフレ」というコンセンサスは正しいのか

Jack_the_sparow / Shutterstock

では次に、インフレについて考えてみよう。「物価の上昇がインフレを引き起こす」という主張は、「日焼けが太陽を輝かせる」と言うようなもので、原因と結果があべこべになっている。

そもそもインフレとは何なのだろうか? 実はこれは、流通するカネが多すぎる状態でもないし、だぶついたカネが、希少なモノに注ぎ込まれている状態でもない。

市場経済における交換とはすべて、生産品と生産品の交換だ。そして、最も流通量が多いカネは、理論的に最も信頼度の高いカネということになる。またこれは、金融当局から価値の切り下げを受ける可能性が最も低い通貨単位でもあるはずだ。

だが、インフレを「だぶついたカネが、希少なモノに注ぎ込まれている状態」と定義すると、価値が低くなったカネが、実際には流通量が増えることを示唆する(生産者は、自らが市場に送り込むモノについて、同等の価値を求めるから)。こう言えば、先ほどの卵の例と同様に、このようなインフレの定義は馬鹿げていることがわかるだろう。

インフレとは、価値の測定単位が減少することにほかならない。唯一の問題は、インフレが猛威をふるったとされる2021年から2022年にかけて、ドルは金(ゴールド)という指標と比較して、ほぼ安定したレベルを保っていたという点だ。

もし、金が指標として信用ならないというのなら、外国通貨がある。同時期にドルは、為替相場で上昇傾向にあった。すなわち、「2021年から2022年にかけての時期にインフレが起きていた」と言うのなら、これは人類史上初めて、測定単位(この場合は米ドル)が減少しないインフレだった、ということになる。

というわけで、話は冒頭に戻る。2021年から2022年にかけて、市場に出回った多くの商品の価格が上昇したことは間違いない。しかしその間、ドル相場は下落していなかった。これは、一部の物価が上昇したものの、それと呼応する形で、市場に出回っている他のモノの値段が下がり、インフレは起きていなかったことを意味する。

にもかかわらず、「FRBは、市場価格を下げる役割を担う唯一の機関だ」というのが経済界の定説になっている。繰り返しになるが、これは危険なコンセンサスだ。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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