アップルが新しいiPad Airを3月12日に発売する。高性能なApple M3チップを搭載。4月から日本語対応が始まるApple Intelligenceの各機能がスムーズに動く。フラグシップのiPad Proとの違いにも触れながら、M3搭載iPad Airの実力をレビューする。
M3チップ搭載により静かに大きく進化
アップルが2024年5月に発売したM2搭載iPad Airから、ラインナップは11インチと13インチの2サイズ展開になった。M3搭載iPad Airも同じサイズ、ストレージの容量、カラーバリエーションが揃う。プロダクトのデザインも変わらない。そして価格も変わらなかったことに注目したい。Wi-Fiモデルは10万円を切る税込9万8800円だ。
M3チップのパフォーマンスはM1チップを搭載するiPad Airと比べた時に差がつく。CPUが35%、GPUが40%高速になった。Appleシリコンの映像処理の心臓部であるメディアエンジンは、その性能が上位のM4搭載iPad Proに近づいた。8K HEVC、および4K H.264の各形式で記録されたビデオファイルのデコーダーを載せて、3Dレンダリングのような高負荷のタスクも軽快に処理するという。iPad Airの位置づけを考えると十分すぎるスペックだ。むしろM3は電力高効率の高いチップなので、高度な処理をこなしながらM1搭載iPad Airと同じ1日中持つバッテリーのスタミナ持ちを実現したことに注目したい。
M3チップを搭載するiPadは他にない。2023年発売のM3搭載MacBook Proのチップと比べるとGPUのコア数は1つ少ない。iPad Airに最適化したチップであることを踏まえて、筆者がメインマシンにしているM3搭載MacBook Proとチップの性能をベンチマークソフトの「Geekbench 6」を使って調べた。複数回計測した結果、CPUはシングルコアとマルチコアのポイントがほぼ同点。GPUのメタルスコアはほぼ49000対45000で、コア数が1つ多いMacBook Proの方が4000ポイント前後上回った。新しいiPad Airのチップ性能は“「M3搭載MacBook Pro並み」といえそうだ。
機械学習処理に特化するNeural EngineはM1チップと比べて60%高速化している。例えばApple Pencil Proで描いたイラストを生成AIモデルにより整える「画像マジックワンド」や、写真に写り込んだ不要なオブジェクトをペンでなぞって消せる「クリーンアップ」の機能がスムーズに動く。
