AI

2025.03.10 12:00

中国でAIチップは「過剰供給されつつ演算能力不足」という矛盾、原因と未来

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たとえば、いつか弾けるようになると信じて、多くの人が高価なコンサートピアノを何百万台も買い込む世界を想像してみるとよい。しかも、それらのピアノをコンサートホールや音楽学校に置くのではなく、小さな倉庫に乱雑に散らばらせているような世界を。ピアノ自体は存在しても、その潜在力はまったく活かされない。これが、中国のAIエコシステムで起きたことの本質なのだ。

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短期的需要と長期的需要の問題

第二の説明は時期の問題にある。2023年には、チャットボットから工場の自動化まであらゆる分野を支える巨大AIシステム、いわゆる基盤モデルの開発が過熱していた。しかし2024年になると、この取り組みの多くが失速した。リソース不足を痛感して撤退した企業もあれば、基盤的なAI研究からAIアプリケーション開発へと軸足を移した企業もある。その結果、AIの中で最も演算負荷が大きいモデル訓練の需要が減ったのだ。

同時に、すでに学習済みのモデルを運用する「推論」需要が高まり始めた。しかし推論には別種のインフラが必要だ。モデルの訓練は、巨大で集中化された計算クラスターが必要なマラソンのような工程である。一方、推論はスマートフォンから工場の生産ラインまで、多様な環境にAIモデルを展開する複雑なダンスに近い。中国が2023年に整備したインフラは訓練用途を想定していたため、2024年に市場が変化した際、訓練用リソースが過剰となり、推論用リソースが不足するというアンバランスが生じたのだ。

「フェイク」AIクラスター

事態をさらに複雑にしているのは、「フェイク」あるいは「疑似」的な1万GPUクラスターの存在である。理論上は大規模AI計算センターを構築できるだけのGPUを購入しておきながら、実際には複数の小規模データセンターに分散配置してしまう企業がある。高速ネットワークと適切なソフトウェアアーキテクチャがなければ、これらのチップを一体的なシステムとして機能させることはできない。

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これは典型的な「量の蓄積を能力と勘違いする」事例である。何千ものGPUを持っていても、それだけで競争力のあるAI研究ができるわけではない。ちょうど、100台のフェラーリを所有していても、それで一流のレーシングチームになれるわけではないのと同じだ。中国に多数存在するAIクラスターの中には、実際の研究ツールというよりは、金融資産として保有されている例も多い。

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翻訳=酒匂寛

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