──インフォボックスに投資した理由をより詳しく教えてください。
本田:平沼さんには営業が嫌いになるほどの強い原体験があって、明確に何を解決すべきかを理解しています。インフォボックスが展開している事業は、アメリカで一時デカコーンにもなったズームインフォという成功例がある。ベンチマークできる相手として、彼らに習いながら事業を拡大していっています。すでに海外展開も見据えていて、平沼さんはそれをしっかりやってのけるだろうと感じました。
──そう思わせるのはどんな点でしょうか?
本田:僕は常にファウンダーの視座の高さと行動力を見ています。平沼さんは、視座が高くてビックマウス。ただ言うだけでなく、行動も伴っています。僕が言う行動というのは実績です。ハードワークも行動ですが、ある期間に設定したKPI(重要業績評価指標)をしっかり達成するということも行動だと思っています。

優れたファウンダーって、会う度に必ず何らかの進捗があるんです。実際、平沼さんたちは設定したKPIを着実に達成していて、ローンチしてから4カ月でARR1億円という実績も出しているわけです。インフォボックスチームもこの勢いを楽しんでいるんじゃないですか。
平沼:そうですね。皆、死に物狂いで働こうという姿勢になっています。いまうちの会社では、従業員に細かな目標設定はしていません。今期のマイルストーンは1つだけ。「ARR6億円」です。ローンチしてから4カ月でARR1億円を達成したので、今期はARRを6億円にしようと。業務委託やエンジニアであっても「今期の目標は?」と聞かれたら、「ARR6億円」と即答しますよ(笑)。
本田:僕は投資を決めるときに「1年で6億円くらいの結果を出さないとダメですよ」って話しているんですよね。「6」に特別な意味はないのですが、SaaS業界でうまくいっていると言われている数字を打ち破りにいこうという考えです。
平沼:SaaSの指標の1つに「T2D3」(売り上げ3倍を2年連続、2倍を3年連続で達成し、5年で72倍に成長させる指標)という言葉がありますよね。いろいろなSaaSスタートアップ経営者が、T1の1億円から3億円がいちばん難しいと言うんです。でも僕たちは、直近でARR3億円を超えようとしています。社内ではT2D3という言葉を出さないようにしています。それはインフォボックスは1000パーセントデカコーンになれると確信していて、T2D3にはおさまらない力があると思っているからです。

本田:6億円という目標を社内だけでなく、こうしてメディアでも公言するのは信頼に足ると思うんですよ。僕は平沼さん本人だけでなく、平沼さんを知っている人にも評価を聞いています。平沼さんを紹介してくれた盛島さんはもちろん、仲の良い投資家にもヒアリングして、自分が感じている彼の印象に相違はないかを確かめています。
僕の部下にも評価を聞きました。僕にだけ良い顔をするけど、部下には違った態度になる起業家もいますからね。裏表はないか、1つ1つクリアにしていくなかで、平沼さんは整合性が取れています。