情報の層
ウクライナ自体の情報アセット、とくにドローンは前線やその付近の上空に集中している。前線から65km以上離れた場所では、衛星をはじめとする米国のアセットにカバーされることが多くなる。ウクライナや欧州の支援諸国の情報ではHIMARSの目標を発見できないというわけではない。ただ、米国が情報共有を停止したことで、それが以前よりは難しくなったというだけだ。
痛みを伴うかもしれないが、ウクライナは米国が唐突にやめた協力の穴を埋められる。欧州の支援諸国は米国と同様の宇宙能力の多くを、規模は劣るとはいえ保有している。民間企業が持つ能力もあり、金銭を支払って利用することもできるだろう。
トランプが反ウクライナの態度を翻さない限り、あるいはウクライナが遠方の目標に関してほかの情報源を確保できない限り、ウクライナ軍のHIMARSはこれまでほど遠方に、あるいは精確に砲撃することはできなくなるかもしれない。
かといってHIMARSが砲撃できなくなるわけではない。少なくとも、これまで主に米国から供与されたロケット弾の在庫が尽きるまでは。