GXは日本から新たな時代へ! 新プロジェクト「NEXT GX STREAM」を始動

気候変動対策が世界の共通課題となるなか、その潮流を新たな成長機会と捉え、社会課題解決とビジネスを両立させる動きが加速している。国際社会では対応が不十分と評されることもある日本だが、今まさに、この変革をリードする企業や人々が次々と現れ、グリーン・トランスフォーメーション(GX)の新たなうねりを起こそうとしている。Forbes JAPANはそうした人たちに新たな光を当てるプロジェクト「NEXT GX STREAM」を始動させる。プロジェクトの概要を「気候変動の現在地」と共に届けよう。

パリ協定の採択から10年。世界は2030年までに、温室効果ガスを2013年と比べて26%削減するという目標に取り組んでいる。2025年はトランプ米大統領の再度の協定離脱宣言で幕開けし、揃っていたはずの足並みが乱れ、世界的な対策の進展に、大きな揺り戻しが生じた。今春は「トランプ関税」が世界中の関心を集め、気候変動対策への議論が、一層なりを潜めているかのようにも見える。

しかし、気候変動はその混乱の収束を待ってはくれない。大規模な山火事や集中豪雨など地球温暖化の影響は年々深刻化し、全世界でかつてない脅威となっている。企業が果たすべき気候変動対策の役割が大きくなる一方、この変革をチャンスと捉え、従業員や地域、取引先、消費者など、さまざまなステークホルダーのGXニーズや価値観と自社の事業を紐付けながら、ともに持続的な成長を目指す。個社にとどまらない社会全体の利益を重視する企業意識の高まりを感じる。

Forbes JAPANにおいても、気候変動は重要なテーマのひとつだ。「新・いい会社100」特集(「Forbes JAPAN」124号)では、全上場企業を対象とした「自然資本ランキング」「脱炭素経営ランキング」「サプライチェーンランキング」などを発表した。GXの取り組みは、CSRの一貫としてだけではなく、持続的な成長と競争力強化に不可欠な経営戦略として、“いい会社”の新たなスタンダードになりつつある。

ただ、これまでの日本の気候変動対策の国際的な評価は、決して芳しいものではない。たとえば、ドイツの環境NGOジャーマン・ウォッチが2024年における世界各国の気候変動対策を評価した「気候パフォーマンス指標(Climate Change Performance Index:CCPI)2025」という指標がある。温室効果ガス(GHG)の排出量や再生可能エネルギーの使用量など14の指標を用いた世界ランキングを作成しており、日本は64の国と地域のなかで58位。エネルギー使用と温室効果ガス排出の評価は「低い」、気候政策と再生可能エネルギーの評価は「非常に低い」とされ、特にG7のなかで石炭火力の段階的廃止について明確な計画がないことが指摘されている。

この水準は、今の日本社会全体の雰囲気を表しているとはいえないだろうか。気候変動についての研究成果を評価する国際的な組織「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」で、評価報告書の執筆者を務めている気候科学者の江守正多(東京大学未来ビジョン研究センター教授)は、気候変動に対する日本社会の“空気感”を「日本では気候変動対策が『我慢』『負担』『犠牲』といった観点とネガティブなフレーミングで捉えられているのではないか」として、対策を進める印象が後ろ向きではないのかと問う。加えて、「産業界ではエネルギー産業や製造業が政治的発言権が強くあり、投資した『レガシー』への配慮から、政策的にも大胆な転換が起きにくいことも大きい」と江守教授は話す。

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Photo by HAFIZIE SHABUDIN/Shutterstock.com

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