経済・社会

2025.03.05 19:00

なぜ、トランプとプーチン、習近平、金正恩は惹かれ合うのか

Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images

実際、トランプ氏側近のバンス副大統領は2月にドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議で「欧州の脅威は中ロなどの外部勢力ではない。米国と共有する基本的な価値観から離れていく内部(の問題)だ」と言ってのけ、欧州の人々の眉をひそめさせた。バンス氏は2月28日、ホワイトハウスを訪れたウクライナのゼレンスキー大統領に「米国に感謝の言葉がない」と迫った。トランプ氏もゼレンスキー氏の服装を揶揄するなど、およそ対等の意識に欠ける言動ばかりが目立った。

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松村氏によれば、こうした「人も国もみな対等だという立場から始めなければいけない」という考えに反発し、「国内でも国外でも、まず自分が強い立場に立つことが第一だ」という考え方が、トランプ氏とプーチン氏、習近平氏、金正恩氏らを引き付けている。

今後の世界はどうなるのか。全世界をみれば、欧州や日本、バイデン米前政権が唱えた「人権を重視する民主主義」という価値観に対する揺り戻しが顕著だ。欧州も移民流入がもたらした社会不安などから、ハンガリーやドイツ、オーストリアなどで極右勢力が伸長している。もしかすると、欧州も今後、極右勢力が各国で政権を握る日が来るかもしれない。

日本はどうなるだろうか。就学支援金の所得制限撤廃などを盛り込んだ2025年度予算案が4日、衆院を通過した。与野党は26年度からの高校授業料の無償化で合意している。「103万の壁」「高額医療費」などを巡っても議論が行われた。松村氏は「日本では移民が少ないこともあり、欧州ほど極右勢力が伸長する状況にありません。欧州が極右勢力に席巻された場合、日本だけが世界で孤立する日も来るかもしれません」と語る。

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それでも、松村氏は「目先の利益にとらわれて、大局観を見失わないことが重要です」と語る。18世紀以降、欧米世界から広まった人権重視の流れは、長い目で見れば今後も世界に広がり続けるという意味だ。ドイツやオーストリアでは、極右勢力との政権協力に否定的な意見が依然、多数を占めている。米国でも民主党支持者を中心に、DEI見直しやバンス氏の発言などに反発する動きが起きている。

石破茂首相がトランプ大統領に阿諛追従をしてまで国益を守ったことには賛否両論がある。ゼレンスキー氏がトランプ氏と激しい口論を繰り広げたことにも賛否両論がある。ただ、現実重視という名の下に、何でもトランプ氏についていけばうまくいくということでもないだろう。

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文=牧野愛博

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