ロシア軍の訓練兵が犠牲になった直近の攻撃をみてみよう。昨年11月21日かその少し前、ウクライナ南部ザポリージャ州のロシア側支配地域のどこかで、民生用のバンからロシア兵十数人が降りてきた。ウクライナ軍のドローンが上空を旋回し、その様子をじっと観察していた。そして、そこから90kmも離れていない前線反対側に展開したウクライナ軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS)から、ロケット弾1発が発射された。
ロケット弾はロシア軍の訓練兵らのすぐ近くに着弾し、殺傷性の金属片を彼らや車両に浴びせた。ドローンの映像によれば、訓練兵少なくとも5人が死亡するか重傷を負ったとみられる。野外に集結したロシア軍の訓練兵らに対する攻撃は9カ月で少なくとも8回目だった。知られる限り、いずれもロシア陸軍の指揮官が直後に介入することはなかった。
ドラパティーの憤りは個人的なものだけではないだろう。それには、ウクライナ軍のマンパワー(人的戦力)の深刻な状況も背景にあるに違いない。ウクライナ軍が死活的に必要としているのは人員であり、現状では足りていない。訓練施設に対する予防可能な攻撃で兵士を失う余裕はウクライナにない。ウクライナの指導部もそれを知っている。