欧州

2025.03.05 08:30

ウクライナの都市防空に危機 米国製パトリオットの代替難しく

パトリオット地対空ミサイルシステムの発射車両。2023年7月、リトアニア・ビリニュス(Karolis Kavolelis / Shutterstock.com)

その場合、現実的な選択肢はひとつに限られる。MBDAとタレスのコンソーシアム(企業連合)であるユーロサムが共同で生産しているSAMP/Tだ。欧州版パトリオットとも呼ばれるSAMP/Tをウクライナはすでに2基受け取っているが、さらに数基と、このシステム用の長射程型アステル(アスター)ミサイル数百発が必要になるだろう。

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ただ、ユーロサムはかつてアステルの契約から納入開始までに4年近くも要していた。ユーロサムは来年までに納期を1年半に短縮すると約束しているが、大西洋をまたぐ安全保障危機の深刻さを考えればそれすら十分なスピードではない。

フランス政府もユーロサムの生産の遅さに不満をいだいてきた。フランスのセバスチャン・ルコルニュ軍事相は昨年3月、ミサイルの製造を加速させるため、自国の新たな法律に基づいてMBDAに資材の備蓄を強制させることも辞さないと警告した。「生産ペースがあまりに遅いことがあるとすれば、それは『ジャスト・イン・タイム』の誘惑に駆られ、原材料や部品の在庫を十分に確保していないからなのは明らかだ」とも批判した。

フランス政府は当時、アステルの長射程型であるアステル30の新たな発注数を400発、総額20億ユーロ(約3100億円)相当に倍増させるとともに、最初のバッチの納期を2026年内から2024年後半に前倒しするようMBDAに求めたとされる。

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米国製パトリオットの補完として、さらに多くのアステルがウクライナに届くことになる。それはパトリオットを代替することになるかもしれない。もちろん、ウクライナにはSAMP/Tシステムの発射機やレーダーがもっと必要だ。それでもウクライナの防空システムの脱米国化プロセスは始まっており、今後それは加速するに違いない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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