欧州

2025.03.05 08:30

ウクライナの都市防空に危機 米国製パトリオットの代替難しく

パトリオット地対空ミサイルシステムの発射車両。2023年7月、リトアニア・ビリニュス(Karolis Kavolelis / Shutterstock.com)

英国のキア・スターマー首相は会合で、16億ポンド(約3000億円)を投じてウクライナ向けに防空ミサイル5000発を供給すると表明した。フランスのタレス社が北アイルランドのベルファストの工場で製造するマートレット軽量多目的ミサイル(LMM)を供与する。並行してノルウェーのコングスベルグ社も、ウクライナの企業と提携して、ウクライナに13基配備されているとみられるNASAMS中距離地対空ミサイルシステム用のミサイルをウクライナで生産する計画を発表した。

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とはいえ、どちらの取り組みもウクライナの長距離防空問題の解決にはならない。マートレットは、8km離れたロシア軍のドローン(無人機)など比較的小型の空中目標は撃墜できるかもしれない。NASAMSは、40km離れたより高高度で高速の脅威に対処できるかもしれない。しかしパトリオットは、100kmかそれ以上離れた有人機や無人機、弾道ミサイルを迎撃できるものだ。

ウクライナはこれまで、パトリオットミサイルを少量ずつ入手し、あまり間をおかず使ってきた。おそらくウクライナにパトリオットミサイルの備蓄はあまり多くなく、米国が援助を停止すればすぐに枯渇するおそれがある。

たしかにドイツでは、米レイセオン社と欧州のミサイルメーカー、MBDAの合弁で、パトリオットミサイルの工場が新設されている。トランプに従順なマルコ・ルビオ国務長官率いる米国務省はもしかすると、この工場で生産されるパトリオットのウクライナへの売却を許可するかもしれない。ただ、この工場はまだ建設が始まったばかりで、生産の開始は2027年と見込まれている。

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あるいは、かねて噂されてきたウクライナ国産の地対空ミサイルシステム、SD-300が、ようやく開発を終え、近いうちに量産体制に入るかもしれない。しかし、より可能性が高いのは、欧州がパトリオットクラスの純欧州製の防空システムを早急にウクライナに提供するというものだろう。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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