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映画

2025.03.10 15:15

「ほぼ100%ボブ・ディラン」な主演俳優に注目│映画「名もなき者」

映画「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」から ©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

難病を患って入院しているガスリーに会うと、ディランは彼のためにつくった曲を歌う。ガスリーに付き添っていた有名なフォークシンガーであるピート・シーガー(エドワード・ノートン)は、それを聴いてディランの才能に気づき、無一文に近かった彼を自宅に泊めるのだった。

こうしてシーガーの強力な推薦を得たディランは、ニューヨークのクラブで歌い始めるが、その場で彼の歌を聴いていた人物によって、とんとん拍子でレコードデビューすることになっていく。

1960年代前半、アメリカは東西冷戦や公民権運動で激動の時代を迎えていた。ディランは教会で催されたライブで、社会問題に対しても世の中の動きに対して意識の高いシルヴィ・ルッソ(エル・ファニング)と出会う。彼女から強い刺激を受けて曲づくりをするとともに、恋愛関係にも発展していく。

ディランは進歩的なシルヴィ・ルッソ(エル・ファニング)と知り合い、創作においても大きな刺激を受ける ©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

一方でディランは、すでにフォークシンガーとして人気を集めていたジョーン・バエズ(モニカ・バルバロ)の知遇も得る。ライブハウスでディランの歌を聴いていたバエズはいたく心を動かされ、その夜、2人は愛を交わすことになる。

翌朝、ディランがギターを手にして、つくりかけの「風に吹かれて」を歌い始めると、バエズもそれに唱和し、やがてコンサートでも共演、彼の曲をカバーするようになるのだった。

すでに人気を得ていたフォークシンガーのジョーン・バエズ(モニカ・バルバロ)ともディランは交流を重ねていく ©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

「名もなき者」には、前出の「ボヘミアン・ラプソディ」や「ロケットマン」のようなドラマチックな展開はない。まさに「名もなき者」だったディランが、やがて「フォーク界の貴公子」と呼ばれ、時代の寵児にまで上り詰めていく過程が淡々と描かれていく。

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文=稲垣伸寿

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