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VC

2025.03.10 11:30

インパクト投資の新潮流:システムチェンジで社会課題を解決

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第二には、システム志向を具体的に投資戦略のなかに取り込み、システムチェンジを標榜するようなベンチャーキャピタル(VC)が現れてきている点だ。米S2G Venturesは、ウォルマート創始者の孫が設立したBuilders Visionグループ発祥のVC。同社は、例えば海洋表層データを扱うApeiron Labsに出資した際には、既存出資先から得た情報を複合的にかけ合わせ、同社が海洋コントロールというシステムのなかで本当に機能するか、そこにどのようなニーズとチャンスがあるかを分析して出資をするなど、単独出資では得られないインサイトやアドバリューを生み出すことを追求している。また、英Systemiq Capitalは、気候変動や持続可能な経済を実現するために、システム変革を促進するようなソリューション企業への投資が専門だ。特徴は、独自の専門家、アドバイザー、同業者、政策立案者とのネットワークを支援先に提供し、国家的な助成金の獲得やコンソーシアム等への参加を導く点にある。

戦略的投資にも活用可能

システムチェンジ投資は、実際に、食糧問題や気候変動などのグローバル課題への対処として一部実践が進んでいる。今後も、社会課題が多様化・複雑化することは不可避であり、それに合わせてさらに拡大することは間違いない。

他方で、世界的に事例や先駆者は限られ、課題先進国としてさまざまな社会課題に直面する日本にはチャンスがあると言えるだろう。また、システムチェンジ投資は、さまざまな産業構造・領域などを対象に複合的に投資を行っていくことにほかならないため、上場企業の戦略的投資にも活用可能だ。自社のかかわるセグメントに対して働きかけやCVC投資を行う企業が登場することも近い将来実現すると考えている。

インパクト投資はシステムチェンジを志向する「次の時代」へと移行し始めている。


古市奏文◎SIIFインパクト・カタリスト。メーカー、外資系コンサルティング会社、ベンチャーキャピタルなどを経て2018年にSIIFに参画し、インパクト投資の先行事例創出などをリードして行う。

文=古市奏文

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