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北米

2025.03.04 13:00

米ウクライナの交渉決裂で宙に浮いた「鉱物資源協定」はどこに向かう?

ホワイトハウスの大統領執務室で、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談したトランプ米大統領。2025年2月28日(Andrew Harnik/Getty Images)

トランプが本当に重視すること

もちろん、トランプは、チタンやリチウムがレアアースではないことなど気にしていないだろう。彼はまた、この協定が実際に採掘に結びつくかどうかさえ、気にしていないかもしれない。とはいえ、彼は、「私たちは、掘って掘って掘りまくる」という新たなフレーズを生み出そうと試みた。

トランプが本当に重視しているのは、米国がウクライナに投資した資金を、米国の納税者のために「回収」しようとしている姿勢を見せることだ。その観点から言えば、このディールはすでに大成功といえるのかもしれない。

そして、トランプが貸し借りの精算に強いこだわりを持つ以上、彼のウクライナの鉱物資源の探求は、これで終わりではない可能性が高い。2001年の9.11テロの直後に、トランプはフォーブスに「世界貿易センタービルを以前よりも大きなものに建て直したい」と語っていた。

トランプはまた、米国は2003年のイラク侵攻時に現地の油田を確保しておくべきだったと発言した。彼は、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領の取り組みを批判し、「私なら石油を米国に持ち帰る。イラクを去ってイランに石油を取らせたりはしなかった」と2016年に発言していた。

トランプはさらに、2017年に当時のアフガニスタン大統領と議論した際に、同国のリチウムに同様の関心を持っていたが、それらの資源は現在、中国企業によって採掘されている。

トランプのウクライナの鉱物資源構想も、過去の例のように立ち消えになるのか? それとも、彼は、ウクライナを支援して平和に導くための見返りに、このディールをなおも強く押し進めるのだろうか? 

天然資源を活用して国を再建するというアイデア自体は、悪いものとは言えない。しかし、復興に向けた資金を生み出すには、何十年にもわたる莫大な初期投資が必要であり、その前提条件としてのこうした交渉は、非常にもどかしいものだ。特にトランプは、辛抱強い性格ではない。しかし、ウクライナにも、そのための余裕がもっとない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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