ゼレンスキー大統領は同日、短文投稿サイトのX(旧ツイッター)に、カナダのジャスティン・トルドー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、クロアチアのアンドレイ・プレンコビッチ首相など、ウクライナに連帯を示す言葉を書き込んだ各国の首脳に対し、「支援に感謝する」と投稿した。
今回の会談では、ウクライナの鉱物資源を巡る米国との協定が協議の中心となる予定だった。この協定は、ウクライナに対する米国の財政支援に対する見返りとして検討されていたもので、ウクライナとロシアの和平合意に向けた一歩と見なされていた。他方で、ウクライナに対する明確な安全保障がないという批判もあった。
会談でゼレンスキー大統領はトランプ大統領とJ・D・バンス米副大統領と口論を繰り広げ、協議は物別れに終わった。ゼレンスキー大統領は、過去の外交交渉でもプーチン大統領は信頼性に欠けていたと主張し、トランプ大統領がロシア側と取引する可能性に反発した。バンス副大統領は、ゼレンスキー大統領がトランプ政権に対して無礼な態度を取っていると非難し、米国の和平に向けた努力に感謝するよう促した。
ゼレンスキー大統領はかねてよりトランプ大統領と緊張関係にあった。最近ではトランプ大統領が、ゼレンスキー大統領はウクライナとロシアの戦争を終結させるための和平交渉に関与すべきではないと発言したことから、両大統領間の摩擦が一気に表面化した。ウクライナ抜きでプーチン大統領と先に電話会談したトランプ大統領は、ゼレンスキー大統領を「選挙をしない独裁者」と呼んで挑発した。これに対しゼレンスキー大統領は、トランプ大統領はロシアのプロパガンダをおうむ返しにしているだけだと批判した。ゼレンスキー大統領は2019年の大統領選挙で73%の得票率で大統領に就任している。ウクライナは5年ごとに大統領選挙を実施しているが、2024年の選挙はロシアとの戦争により延期された経緯がある。